今年も、日本の夏の風物詩である全国高校野球選手権の時期になった。沖縄では、すでに6月18日から地区大会が始まっており、南北海道も6月25日、北北海道も6月26日、さらに7月に入れば全国各地で甲子園を目指した熱すぎる戦いがスタートする。
出身地や母校の動向など、人それぞれ見どころがあるだろうが、やはり、この話題を取り上げないわけにはいかない。PL学園高、最後の夏である。
野球ファンなら、PL学園高野球部の休部は耳にしたことがあるだろう。甲子園では、春夏合わせて37回の出場回数を誇り、優勝7回、準優勝4回、通算成績96勝30敗という素晴らしい成績を残した名門校も、2000年代に入って、部員や指導者が絡んだ暴力事件や不祥事が断続的に発生。とうとう学校側は、2015年度から新たな部員募集の停止を決断した。
新入部員がいなくなれば、ほっといても3年で部は自然消滅となる。この夏がまさにそのときなのである。いちおう「休部」ということだが、実質は「廃部」となってしまう可能性が高い。
今大会に参加する部員数は、3年生のみの12人。しかも、いわゆる野球エリートではない。それで日本屈指の激戦区ともいえる大阪大会を勝ち抜くのは、至難のワザ。
なお、現3年生が1年生のときの夏の大阪大会(2014年)は決勝で大阪桐蔭に敗れ、2年生のとき(2015年)は準々決勝で大体大浪商に敗れている。
しっかりと勝ち上がっているところはさすがだが、やはり一世代抜けると成績も下降。果たして今年は、どんな戦いぶりを見せてくれるのか。
ちなみに、PL学園高と言えば、校歌も有名。最近は、愛知の至学館高や大分の明豊高などのいわゆるJ-POP風の校歌も増えていて、もちろん、現役世代にはそのほうがなじみやすいのかもしれない。ただ、一方でやはりPL学園のような「ザ・校歌」といった曲調のほうがしっくりくる人も多いだろう。
PL学園が最後に甲子園でプレーしたのは2009年(初戦で聖光学院高を下すも、2戦目で県岐阜商高に敗れる)なので、若い方は、もしかしたらそこまで感じるものはないかもしれないが、アラフォー世代以上の方は、母校の校歌は忘れてもPL学園の校歌は覚えているという多いはずだ。
「ああ、PL、PL、永遠(とわ)の学園、永遠(とわ)の学園」
このサビの部分は、とくに印象的。
この校歌を甲子園で聴くことは、もう難しいのかもしれない。それでも、奇跡を期待せずにはいられない。かつて、「逆転のPL」と言われ、何度も劇的な勝利を演じてきたチームだから。
運命の大阪大会の組み合わせ抽選は6月24日、試合は7月9日〜7月30日の日程で行われる予定。名門校のラストに注目したい。
文=藤山剣(ふじやま・けん)