今年で4年目の菅野は、過去3年も13勝、12勝、10勝と二ケタ勝利を挙げており、主力投手として活躍しているが、今季はさらなる進化を遂げそうな雰囲気。というのも、開幕からの4試合で、これまでできそうでできていなかったことをクリアしているのだ。
4月6日には、4年目にして本拠地・東京ドームで初の完封勝利を挙げた。クライマックス・シリーズでは、2013年の対広島戦で記録しているが、レギュラーシーズンでは、今年の開幕戦も含め東京ドームで30試合に登板し15勝を挙げながら、一度も完封勝ちはなかった。31試合目にして、ようやくこれを達成したのである。
また、4月13日の対ヤクルト戦では、神宮球場での初勝利も記録。過去3年で、レギュラーシーズンでは6試合で0勝4敗、クライマックスシリーズでも2015年のセカンドステージで登板し敗戦投手になっていた。
しかし、4月13日の対ヤクルト戦では、9回を投げ切り8対0でシャットアウト勝ち。鬼門といわれてきた神宮での呪縛を自ら打破してみせた。
なお、この神宮でのヤクルト戦では、9回に四球を2個与えたが、これがなんと今季33イニング目にして初の与四球だった。これまでの与四球のペースはこうなっている。
2013年 4.8イニング
2014年 4.4イニング
2015年 4.4イニング
2016年 16.5イニング
過去3年間は、4〜5イニングに1個と、完投すれば、だいたい1試合に2個という計算。しかし、今季はその4分の1程度と、非常に優秀。もちろん、まだシーズン序盤で試合数が少ない段階ではあるが、コントロールはとにかく安定している。
そして、投げるだけではない。今季は、バットでもチームに貢献。4試合で、9打数5安打で打率.556と、打者顔負けの記録を残している。これまでの3年間の打率は、2013年.083、2014年.167、2015年.075と、決して打っていたわけではない。今季のピッチングの好調さが、打席での集中力を高めているのかもしれない。
内海哲也、杉内俊哉、大竹寛、マイコラスといった実力者が大きく出遅れている今季の巨人。ローテーションの大黒柱として、菅野への期待はますます大きくなる。
文=藤山剣(ふじやま・けん)