まずは昨季23本塁打を放って、中村剛也から4番の座を奪った山川穂高。入団時から中村の後釜として期待されていただけに、結果を出せたことは本人にとっても球団にとっても、そしてファンにとっても朗報だった。
今オフは開幕から4番に座るための準備を重ねたものの、オープン戦ではあふれるやる気が空回りしたのか、歯車が噛み合わず打率1割台と低迷。
しかし、中村のアドバイスできっかけをつかむと、3試合連続安打を放つなど開幕に合わせ調子を上げている。
まだ1年間を通して試合に出たことがないだけに、フル出場したらどれだけの成績を挙げるのか。中村は、ほぼフル出場して4番をつかんだ2008年に、46本塁打で初の本塁打王に輝き、チームも日本一になった。今季の山川には中村のような日本一の原動力となる活躍を期待したい。
昨季、山川と反対に悔しい思いをしたのが森友哉。WBCの強化試合で左ヒジを骨折し、シーズンの半分以上を棒に振った。そのうえ、休んでいる間にチームは連勝に次ぐ連勝。これで面白いわけがない。
復帰後は38試合に出場して、打率.339、2本塁打と健闘。しかし「山川・源田フィーバー」と重なっていたこともあり、注目度はあまり高くなかった。
今季はもう一度輝いて、ファンを振り向かせる1年にしたい。そのためのキーワードが「正捕手奪取」と「優勝」になる。
投手陣でカギをにぎるのは、やはり菊池雄星。昨季は二段モーションの指摘を受け、シーズン中にフォームの修正を余儀なくされながらも最優秀防御率と最多勝の2冠を獲得。怪物が本格的に目覚めた。
今季、さらなる追い風となるのが二段モーションの解禁。決まった瞬間、「20勝できる」と太鼓判を押す解説者も現れたが、恩恵を最大限に生かせる「菊池ルール」になることは間違いない。
牧田和久(パドレス)、シュリッターといった中継ぎ投手が抜けて台所事情が苦しい西武だが、大エースとなった菊池が投手陣をひとつにまとめるはずだ。
ほかにもリードオフマンの秋山翔吾、成長株の外崎修汰、継投のカギをにぎる武隈祥太などの活躍も欠かせないが、頂点を目指すとなるとやはりこの3人が結果を出すことが肝要だ。
西武が迎えるアニバーサリーイヤー。この祭りの最後を飾るのに「優勝」ほどふさわしいものはない。
文=森田真悟(もりた・しんご)