犠打のパ・リーグ1位は20の中島卓也だが、犠飛は0。これが通常の小技のうまい選手のイメージ像だろう。ところが今宮は、小技とパワーの両面の数字を伸ばしているのである。
それだけではない。打点は22で、西武の中村剛也(20打点)、オリックスのモレル(20打点)、ロッテの角中勝也(21打点)といった、各チームでクリーンアップを張る強打者よりも稼いでいる。これも、にわかには信じがたい数字だ。
しかしながら、打率は規定打席到達選手の中でリーグ最下位の.207。そして、得点圏打率も通常時と変わらない.200。なぜ? 得点圏打率を上げずに、打点を増やすには、犠飛、押し出し四球、スクイズ、ソロホームラン…。いや、別にそれを目指しているわけではないだろう。
もちろん、固め打ちをすることもあり、5月26日のオリックス戦では、第1打席が安打、第2打席が本塁打、第3打席が三塁打と、不振から脱出しつつあったエース・金子千尋から3安打を放った。
9回の第4打席では、サイクルヒットの期待がかかったが、敬遠に近い四球で記録達成ならず。一塁が空いているということもあっただろうが、やはりオリックス側が、今宮との勝負を避けたように感じられた。
打率は2割をいったりきたりでも、ここ一番の勝負強さ、バントの上手さ、そしてなによりスペシャルな守備。今宮はチームに不可欠なピースであることは間違いない。
文=藤山剣(ふじやま・けん)