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戦力外通告候補生…。プロ野球選手の分水嶺=「29歳の男たち」は後半戦で踏ん張り、生き残れるか!?

戦力外通告候補生…。プロ野球選手の分水嶺=「29歳の男たち」は後半戦で踏ん張り、生き残れるか!?

 平均年齢 = 29.6歳。

 これ、プロ野球におけるなんの数字か、おわかりだろうか? 正解は「平均“引退”年齢」だ。

 昨今、さまざまなデータを公表しているNPB。2016年に引退した選手125人の平均値が「29.6歳」だった。昨シーズンに限らず、毎年のように平均引退年齢は「29歳」前後。プロ野球選手にとってまさに分水嶺といえる年齢であり、30歳を迎えられるかどうかが現役生活を長く続ける上ではひとつの正念場、というわけだ。

 ということは、今年29歳の選手で結果を残せなかった選手は、戦力外通告候補生……という見方もできるだろう。

 ちなみに、今シーズン29歳の選手たち、というのは、プロ野球黄金世代のひとつ、マーくん(田中将大)世代の男たちだ。それまで長期間に渡って安定した成績を残している選手であれば、たった1シーズン不調だからといって簡単に戦力外になることはまずありえない。だが、何が起こるかわからないのもプロ契約の厳しい世界。安穏と楽観視しているわけにもいかないはずだ。

 そこで、今季29歳の選手たちで、前半戦、思うような成績を残せなかった選手たちをあえてピックアップ。後半戦の奮起を期待する材料としたい。

斎藤佑樹(日本ハム/プロ7年目)


 前半戦、最後の登板となった7月11日のオリックス戦で、4回11安打8失点(自責7)という大炎上。今季3敗目を喫してしまったのが斎藤佑樹だ。あまりのショックからか、本塁悪送球やベースカバー忘れなど守備でもミスを連発してしまった。

 年間勝利数は1年目の6勝(6敗)が最多。昨季はひとつも勝ち星を挙げることができなかった。それだけに、今年5月31日、623日ぶりの白星を飾ったときには大きく取り上げられ、その後の活躍も期待されたのだが……。

 3敗目の試合後、斎藤をかばうコメントをした栗山監督にも非難の声が挙がるなど、立場はますます厳しいものがある。だからこそ、かつて輝いた「甲子園の季節」に奮起を期待したい。

澤村拓一(巨人/プロ7年目)


 昨シーズン、新人王以外では初のタイトルとなる最多セーブ(37セーブ)を挙げた巨人の澤村拓一。だが、今季は3月4日のオープン戦で1球目に危険球を投じてしまい、退場。以降、右肩の違和感を訴え、1軍はおろか2軍、3軍でも登板機会は一度もない。3軍の練習で遠投をする程度だ。

 澤村に代わって巨人の抑えを任されたのが新外国人のカミネロ。前半戦18セーブはリーグ3位の数字だが、記憶に新しいところでは7月1日のDeNA戦、2点リードの9回のマウンドに上がって逆転満塁弾を浴びるなど、ベンチからもファンからも信頼度はまだまだ高いとはいえない。

 肩の不調だけに焦ってほしくはないが、まずは遠投ではなく、打者に投げる姿を2軍でもいいから見せてほしい。


吉川光夫(巨人/プロ11年目)


 大田泰示、公文克彦との交換トレードで石川慎吾とも日本ハムから巨人へ移籍してきた吉川光夫。貴重な先発左腕として期待されたが、5月24日の阪神戦では、鳥谷敬の頭部へのデッドボールで危険球退場になるなどピリッとせず。前半戦は0勝2敗、防御率が4.00という低調な数字だった。

 かつてパ・リーグMVPにも輝いた本格派左腕と、未完の大器(大田)の交換、ということで「格差トレード」と言われたのも今や昔。大田が日本ハムで大暴れし、プロ9年目で初となる2ケタ本塁打を放ったのとは対照的だ。交流戦明けからは中継ぎへと配置転向になったが、7月1日には出場選手登録も抹消されてしまった。

 巨人への入団会見において、「(MVP)成績を超えられるようにやりたい。直球で勝負していきたい」と豊富を語った吉川光。まずはもう一度、直球に磨きをかけ、巨人のAクラス入りに貢献してもらいたい。


 本稿では、顕著な例として、今季前半戦、思うような成績を残せていない3選手を取り上げた。だが、29歳の選手たちで今季の活躍に満足している選手は少ないのではないだろうか。

 海の向こう、メジャーリーグでも、この世代の筆頭ともいえる、田中将大(ヤンキース)と前田健太(ドジャース)の2人が、プロ入り後はじめて、といえるほど苦しい投球を続けている。

 一方で、29歳にしてブレイクを果たし、セ・リーグの首位打者を快走する宮崎“プーさん”敏郎(DeNA)。同じく、打率2位につける坂本勇人(巨人)といった、結果を残している選手たちもいる。

 プロ野球における「29歳の壁」。それを乗り越えられるかどうか、後半戦の戦いぶりをしっかりと見届けたい。


文=オグマナオト

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