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《第1回・中島卓也(日本ハム)》昨季ファウル599本のカットマンはWBCでも粘るべき!


 野球の“世界一”を決めるWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)。第1回大会、第2回大会で連覇を果たしたものの、2013年の第3回大会では準決勝でプエルトリコに敗れた日本。来年行われる第4回大会で“世界一”の座を取り戻すべく、日本一早いWBC選考委員会を発足。日本代表の一員に欠かせない選手をピックアップした。

 まず取り上げる選手は、WBC独自のルールを最大限に生かせる、日本一の“カットマン”だ。

おさらい 〜WBCでの投手の球数制限〜


 WBCの戦い方として真っ先にあがるのが投手の球数制限。少年野球で球数やイニングの制限が設けられることはあるが、プロレベルでは聞いたことがない。先発投手のほかに“第2先発”という言葉を見聞きするのもWBCならではだ。次回のWBCでも球数制限のルールが設けられるのは濃厚。各国は対策を練る必要がある。

 対策の前に、まずは過去に行われたWBCでの球数制限に関するルールを振り返ろう。

【第1回大会】
 1次ラウンドが65球、2次ラウンドが80球、準決勝と決勝は95球に制限された。

【第2回大会】
 1次ラウンドが70球、2次ラウンドが85球、準決勝と決勝は100球に緩和された。

【第3回大会】
 1次ラウンドが65球、2次ラウンドが80球、準決勝と決勝は95球。第1回大会と同一の球数制限に戻った。

 第1回大会から第3回大会における共通のルールとして、投球中に制限数を迎えた投手は、その後の投球数に関係なく、対戦打者が打席を終えるまで投球が認められる。

 また3連投以上は原則禁止。1試合50球以上の場合は中4日以上、登板間隔を開ける必要がある。1試合30球以上、ないしは30球に満たなくても2連投であった場合は、中1日以上の間隔を開けなければならない。

 以上が過去のWBCにおける球数制限のルールだが、65球や70球だとだいたい5イニング前後しか投げられない。多くの投手を登板させればさせるほど、調子の悪い投手が投げる可能性も高くなり、なるべく少ない投手でやり繰りしたいのが首脳陣の本音だろう。

相手に球数を投げさせるのが僕の仕事


 逆に、攻撃する側から考えると相手投手に球数を多く投げさせるほどチャンスは増えてくる。そこで名前を挙げたいのが日本ハムの中島卓也だ。とにかくファウルが多い選手として、コアなファンにはおなじみだろう。

 昨季、中島が打ったファウルは12球団ダントツの599本。2位が秋山翔吾(西武)の546本で、規定打席到達者の平均が405本ということからも中島のファウルがいかに多いかがわかる。

 また、2ストライク後のファウルも中島が355本でダントツ。2位・川端慎吾(ヤクルト)の247本を大きく引き離している。規定打席到達者の平均は164本だが、中島は倍以上も2ストライクからファウルを打っている。

 「2ストライクに追い込まれたらファウルを打って、相手に球数を投げさせることが僕の仕事」と言い切るほど中島。それほどファウル打ちに自信を持ち、内角の厳しい球に対して後ろにジャンプしながらファウルを打つこともある。

 昨季、136安打のうち長打は二塁打8本、三塁打2本の計10本と少なく、プロ通算1753打席で(6月30日現在)、ホームランは0本。打率3割のシーズンもなく、攻撃力で期待はできないものの、相手に球数を投げさせるという点において中島以上の打者はいない。

 中島をスタメンで起用し球数を投げさせたあと、中盤から終盤のチャンスで中島に代打を送るのもひとつの作戦だろう。

 WBCこそ日本が誇るカットマンの本領が発揮される最高の舞台ではないだろうか。

文=京都純典(みやこ・すみのり)

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