パ・リーグでは、糸井嘉男(オリックス)、松田宣浩(ソフトバンク)、秋山翔吾(西武)、陽岱鋼(日本ハム)あたり、セ・リーグでは、梶谷隆幸(DeNA)、丸佳浩(広島)、といったところが、技術とスピードとパワーを兼ね備えている代表格となるが、ケガやスランプもあって届かない数字でもあり、到達できていないのが現状だ。
そんな可能性秘めた選手たちに名を連ねそうなのが、中日の平田良介だ。
2015年の平田は、自身最多となる130試合に出場し、ベストナインにも選ばれた。「プレミア12」や、先日の台湾との強化試合でも活躍。侍ジャパンに欠かせない存在となりつつある。
トリプルスリーの対象となる部門は、打率.283、13本塁打、11盗塁。これだけ見ると、道のりは遠い印象を受けるが、ひとつずつ見ていくと、「なくはない」のだ。
打率は、2013年に規定打席未到達ながら(33打席不足).289をマーク。その後は2013年が.277、2014年が.281と、やや落としてはいるが、これは決して不可能な数字ではないだろう。
本塁打は、100試合以上出場するようになった2011年以降、11〜15本の間をうろうろしている。ただ、大阪桐蔭時代は、通算70本塁打を放ったパワーの持ち主。昨年の8月1日の対巨人戦では、東京ドームのレフトスタンド上段にある「キリン一番搾り」の看板にブチ当てている(東京ドーム発表の飛距離は135メートル)。
ちなみに、トリプルスリーを達成した柳田は、本塁打34本を昨年記録しているが、その前年は15本。1年で19本も上乗せした。同じ1988年生まれ(学年は平田がひとつ上)の平田にも可能性はある。
盗塁は、レギュラーとして定着した2011年からの3年間はわずか1個ずつだったのが、2014年は7個、2015年は11個と少しずつではあるが増やしている。
脚力の潜在能力で言えば、50メートル走は5秒台後半で、中学時代には大阪府の陸上競技会100メートルの部で優勝したこともあるほど。なお、山田も2014年の15盗塁から、15年は34盗塁にジャンプアップさせて、偉業達成を果たしている。
このように、各部門で、その資質は十分に感じられるのだ。
チーム事情に目を向ければ、中日は3年連続Bクラスと苦境にあえいでおり、4年連続となれば、2リーグ制が発足した1950年以降、球団ワーストの記録となってしまう。
Aクラス入りを目指すためにも、今季の主将に指名された平田が、各部門の数字を上乗せしてチーム浮上の原動力となることが期待される。
文=藤山剣(ふじやま・けん)