来季の巨人は、高橋由伸新体制として臨むことを正式に発表した。
就任会見で高橋新監督は「責任のある役割になりますが、先輩たちが作り上げた伝統を守りつつ、自分らしさも出しながら、覚悟を持ってまい進してまいりたいと思います」と、慎重に言葉を選びながら決意を述べた。
兼任監督という立場はとらず、現役は引退。今季、代打では打率.395(38打数15安打)というハイアベレージを残していただけに、残念に思うファンも多かったのではないだろうか。
そして、その決断に連動するように現役に見切りをつけたのが、同僚で同い年の井端弘和だ。
桐蔭学園高から慶應義塾大を経て、大型外野手として巨人にドラフト1位(逆指名)で入団し、1年目から126試合に出場するなどスター街道まっしぐらだった高橋。
一方の井端は堀越高から亜細亜大という経て、中日にドラフト5位入団。レギュラーに定着したのはプロ入り4年目の2001年。攻守にわたる俊敏さと器用さで、遊撃手として不動の地位を築いた。
同じ1975年生まれで1997年ドラフト組。さらには両者とも女子アナと結婚が、選手としては対照的。18年間のプロ生活で残した数字を比較してみると、そのあたりがより鮮明になる。
【両選手の通算記録】
<本塁打数>
高橋:321本 井端:56本
<打点>
高橋:986打点 井端:410打点
<安打数>
高橋:1753安打 井端:1912安打
<犠打>
高橋:17本 井端:248本
<盗塁>
高橋:29個 井端:149個
主に1、2番で活躍した井端に対して、打線の中軸を担うことが多かった高橋。この数字も、おおまかにはイメージどおりかもしれない。
58歳だった原監督から40歳の高橋監督へ一気に若返る来季の巨人。それを支えるべく、1軍内野守備走塁コーチとして入閣した井端。今季は僅差の2位に終わっただけに、復権は至上命題となる。
新監督の采配、さらには巨人内野陣の守備の変化、来季の巨人はこのあたりも注目ポイントとなるだろう。
文=藤山剣(ふじやま・けん)