気がつけば2018年も残りあとわずか。平成最後の年末年始が訪れている。西武ファンの筆者にとって、2018年は確かにいい年だった。CSファイナルステージで敗退したものの、設立40周年という節目に10年ぶりのリーグ優勝を見ることができたからである。
今回は師走の恒例行事になぞらえ、西武ファン目線で2018年の野球界を漢字ひと文字で振り返ってみたい。
筆者が思う漢字ひと文字は……「驚」!
ここからは「驚」の心をひも解いていこう。やはりまずは打線。本塁打王の山川穂高を中心に、打点王の浅村栄斗、最多安打の秋山翔吾などが揃った「驚」威の西武・山賊打線だ。
5番以降も森友哉、外崎修汰、中村剛也など2ケタ本塁打の猛者がズラリ。震え上がった相手投手陣を打ち込み、チーム安打(1351安打)、チーム得点(792得点)という2つの部門で球団記録を塗り替えた。
これには強力投手陣を擁した工藤公康監督(ソフトバンク)も、「うちの投手陣でも抑えられなかった」と脱帽。指揮官すら諦めさせる強力打線は、平成の野球史に、その名をしっかりと刻んだ。
一方で、「驚」くべき投壊に悩まされたのも2018年の西武の特徴。653失点はパ・リーグワーストで、防御率4.24に至っては12球団ワーストであった。
源田壮亮、浅村栄斗、秋山翔吾という打撃だけでなく守備にも定評のあるセンターラインを持ちながらこの結果。打ち込まれた投手を見つめる辻発彦監督の鋭い視線は、シーズンが終わって数カ月がたった今でも鮮明に思い出せる。
象徴的だったのはソフトバンクとのCSファイナルステージ。初戦から4対10、13対5、4対15、2対8、5対6と、1勝のアドバンテージを感じさせることなく為す術なく敗れ去った。
2戦目の結果が「打てば勝てる」と物語っているのだが、2019年はどこまで改善されるのか期待したい。
3つ目の「驚」は選手の移籍話。FA組の浅村と炭谷銀仁朗、ポスティングでのメジャー移籍を目指す菊池雄星は、もはや既定路線ということもあり報道されても驚きはなかった。
筆者が驚いたのはその後、炭谷のFA保証で内海哲也(巨人)を獲得できたことに思わず声を上げてしまった。まさに急転直下というべき展開である。
移籍決定翌日の報道では、巨人関係者の「いつか帰ってきてほしい」、内海自身の「いつか戻りたい」というコメントで“出向”という雰囲気も禁じ得なかったが(いつかの脇谷亮太のように)、それでも菊池の穴を埋められる存在などそうはいないため、西武にとって渡りに船だったことは間違いない。
丸佳浩のFAに伴い、同一リーグということで人的補償の優先権を持つ広島に確認を取ってまで獲得したという内海。筆者は年齢的に“内海世代”にあたるので、特に注目している。
かれこれ30年西武ファンとして生きてきて、何度も優勝するシーンを見てきたが、2018年はこれまでと違った感慨を覚えた。
加齢によって涙もろくなったことも一因だと思うが、自分よりひと回りも年下の選手が躍動する姿に、エネルギーをもらったということもあるだろう。2019年もまた、この気持を味わいたいものである。
ちなみに平成元年(1989年)は、森祇晶監督が率いる黄金期ながらリーグ優勝を逃した(その前後の85〜88年で4連覇、90〜94年に5連覇を達成している)。愛弟子・辻監督がそのジンクスを乗り越えるのか、それとも同じ轍を踏んでしまうので、そんなところにも目を向けて2019年の西武ウオッチをしていきたい。
文=森田真悟(もりた・しんご)