【2017夏の高校野球】《和歌山観戦ガイド》有望選手と大会展望&地区勢力ピラミッド
直球が魅力の素材型右腕の指名はあるか
長距離砲・林は順調にいけばプロの素材
投手編 〜素材型はどう評価される?〜
和歌山の注目投手は中川虎大(箕島)……だったのだが、春季県大会の初戦で10失点KO。この試合では初回に6点を奪われた後、2回から4回が無失点で5回に4失点とムラっけある投球を露呈してしまった。ただ、本格的に投手を始めたのは高校から、という完全な素材型。指にかかった時のストレートは素晴らしく、大きな伸びしろに未来を託したい。宮本凌(市和歌山)もいい素材で、140キロ台半ばのストレートは威力がある。だが、中川と同じく荒れ球で波が激しいのが玉に瑕。
平田龍輝(智辯和歌山・2年)は順調に育ってきた。ストレートが140キロを超え、変化球も及第点。ただ、ボールもフォームも素直なためか、簡単に打たれてしまう点が気がかり。好投手の殻を破るきっかけをつかみたいところだ。左腕の黒原拓未がこの春に球威、制球力ともに大きく成長した。
春季県大会でチームとともに名前を売ったのが楠航兵(紀北工・2年)だ。1回戦で9回に10点を奪ってサヨナラ勝ちをすると、3回戦で楠がノーヒットノーランを達成。球速以上の球威を感じるストレートに加え、多彩な変化球を制球よく操ることも武器。来年も楽しみな存在だ。初芝橋本は山田航大と澤野夏輝の二枚看板を擁する。山田は一冬を越して、力強さが大幅にアップ。球速は140キロに迫る勢いで、スライダーの威力も上がった。澤野はストライクを常に先行させ、テンポがよく、安定感ある投球が光る。
原綜冶(日高中津分校)はやや調子を落としているが、本来はキレのよい投球。最後の夏に復活となるか、注目したい。白濱哲史(向陽)は綺麗なフォームの好投手。制球を乱すことがなさそうで、ストレートはスピンが効いている。宇田健(和歌山商)はアンダースローの右腕。テンポのよさと緩急を使う投球が特長。
野手編 〜林から感じるプロの匂い〜
2年生の主砲・林晃汰(智辯和歌山)は、持ち前のスイングスピードと飛距離を出す技術でスタンドへ、時には場外へ持っていく長打力が最大の魅力。守備でも軽快な動きを見せる大型三塁手だ。
春季県大会の後半に林をケガで欠いた試合でも活発な打線を引っ張ったのは蔵野真隆だ。4番に座り、快打を連発する中距離ヒッター。守備面でも貢献度は大きく、今春から捕手にコンバートになったが、勉強熱心で視野が広い捕手向きの性格も幸いし、ソツなくこなしている。文元洸成(2年)は長距離砲としての才能を伸ばしたい。他にも津田和義、森本季幹などの成長が著しい。
そして、林の代わりに三塁手として出場したのが入学したての黒川史陽。中学時代から強打者として活躍し、鋭いスイングを見せていた。雰囲気ある佇まいは、いい意味で1年生らしくない。
尾?功(那賀)は走攻守揃った選手で、和歌山ナンバーワン遊撃手の呼び声もある。広角に打てる柔らかい打撃、特にミート力が優れている。徳永大起(紀央館)は身長180センチを超える大型遊撃手。打撃がよくなれば、先々でも面白い。稲垣朋弥(和歌山高専)はパワーがあり、肩も十分で捕球面も合格点。捕手適性は高い。
大会展望 〜エース次第の箕島&市和歌山〜
一冬を越えて智辯和歌山の成長度が一気に加速し、今春は他校を寄せつけなかった。下級生の活躍も目立ち、秋以降の強さも感じさせる。昨秋4強、今春準Vの安定感ある和歌山商は、もう一押しができれば、60年ぶりの夏の甲子園にたどり着ける。智辯和歌山に食い下がった初芝橋本はロースコアに持ち込みたい。地力をつけてきた紀北工の初甲子園にも期待が膨らむ。伏兵・日高中津分校など中位校は群雄割拠状態。市和歌山や箕島はエース次第で、“上位喰い”もあり得る。
野球太郎 No.23
「2017夏の高校野球&ドラフト特集号」
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