2009年ドラフト3位で近畿大からヤクルトに入団した荒木。大卒即戦力候補だったものの伸び悩み、試合に多く出場するようになったのは、5年目の2014年だった。この年の荒木は55試合に出場し、打率.275、2本塁打、12打点をマーク。遊撃で29試合、外野で11試合、一塁で9試合とマルチプレーヤーとして起用される。とはいえ、前年の2013年6月には山田哲人と荒木で3失策ずつの合計6失策を記録したこともあった。しかし、それにめげることなく1軍の戦力として台頭してきたのだ。
以降もレギュラー奪取には至らないものの出場試合数を確保し、2017年はキャリアハイの91試合に出場。これまたキャリアハイとなる6本塁打をマークした。しかし、打率.207(188打数39安打)は2014年以降でワースト。長距離砲として期待がされているわけではないだけに、もう少し打率を残したい。
とはいえ2017年は打率こそ低調だったが、印象づける働きをみせた。5月14日の中日戦で大野雄大から放ったサヨナラ満塁本塁打のことだ。前日の試合で9回に2点差をひっくり返された嫌な流れを吹き飛ばす一撃だった。荒木が2017年シーズンで一番輝いた瞬間だといえるだろう。
その後も川端慎吾、畠山和洋ら主力不在のなかで、一塁のポジションをつかみかけた。しかし、定着には至らずファンはヤキモキさせられる。2018年は畠山らと一塁のポジションを争うことが濃厚。便利屋ではなく、真のレギュラーとして活躍することを期待したい。まだ、近畿大の先輩・糸井嘉男(阪神)、藤田一也(楽天)はまだ第一線で活躍中。荒木も先輩たちに負けてはいられない。
荒木がレギュラーに定着して活躍することで、畠山が代打に回る。それがひとつの世代交代だ。各ポジションで新陳代謝がなされるためにも、まずは荒木が先鞭をつけてほしい。
最後に筆者の話で恐縮だが、個人的には荒木の応援歌がチーム一格好いいと思っている。応援歌の歌詞にある通り「夢への架け橋」を描く打球を神宮球場で見たいものだ。
文=勝田聡(かつた・さとし)