NPB時代の中後の成績をおさらいしておこう。
2011年に近畿大からドラフト2位でロッテに入団。2012年からいきなり27試合に登板し、2勝0敗5H、防御率4.87の成績を残し、頭角を現した。
防御率はやや物足りないが、左スリークオーターやサイドからキレ味鋭いスライダーを投げ、その変則投法には野球のエンターテイメント性が詰まっていた。
左のリリーフとして、とんでもない逸材になるかも知れない。
そんな声も多かったが、2013から2014年はそれぞれ5試合の登板。2015年は1軍登板なしに終わり、戦力外となった。
凄まじい球を持つ一方で、荒れ球の傾向にあり、ムラがあった。それでもパ・リーグファンの心には中後の投球はいまだ鮮明に残っている。そんなポテンシャルの持ち主だった。
ビザの取得が遅れ、招待されていたメジャーのスプリングキャンプには参加できなかった中後だが、6月のルーキーリーグ開幕と同時にマイナーデビューを果たした。
ルーキーリーグではわずか1試合の登板で素質を認められ、1A級に昇格すると、そこでも3試合無失点の投球で即1A+級に昇格。
そのカテゴリーでも13試合で0勝0敗2S、防御率2.51、14.1回で16個の三振を奪う好投を見せると、8月頭に飛び級で3A(リノ・エーシズ)からお声がかかった。
8月12日時点でエーシズでの登板は4試合。映像がないため、詳細な評価は出しづらいが、3.2回を投げて無失点、被安打2、奪三振6の好スタートを見せている。
中後が目指すダイヤモンドバックスの本拠地であるチェイス・フィールドは海抜332メートルに位置し、加えて乾燥地帯のため、打球がよく伸びる。またフィールドも広いので、長打が出やすいことで知られている。
そんななかで奪三振が期待できる投球を続けていれば、メジャー昇格も意外と早い段階で見えてくるのではないだろうか。
中後の現所属であるエーシズの本拠地も標高1300メートルを超える乾燥地帯に位置し、打球が飛びやすいため、投手にとって不利な球場。ある意味ではチェイス・フィールドへの適性を見るには持ってこいのロケーションなのだ。
三振が取れる投球スタイル、ダイヤモンドバックスでも活躍したランディ・ジョンソンを彷彿とさせるフォーム、26歳というまだまだ伸びしろが期待される若さ。さまざまな肯定要素を持つ中後。この調子でいけば、メジャーデビューの日はそう遠くないだろう。
文=落合初春(おちあい・もとはる)