まずは先発三本柱の金子千尋、西勇輝、ディクソンの復調が大きいだろう。昨季と今季の成績を比較してみよう。
■金子千尋
昨季:24試合/7勝9敗/防御率3.83
今季:5試合/4勝0敗/防御率1.70
■西勇輝
昨季:26試合/10勝12敗/防御率4.14
今季:3試合/2勝0敗/防御率1.88
■ディクソン
昨季:27試合/9勝11敗/防御率4.36
今季:4試合/4勝0敗/防御率3.38
昨季は奮闘しながらも負け越してしまった3人が現時点では黒星なしの快投を披露している。これは2014年にリーグ2位に躍進した年と同じ状況。「リメンバー2014」が現実味を帯びてきた。
門戸を開いていた鉄壁のリリーフ陣がついに防御の扉を固く閉ざした。今季の嬉しいサプライズはなんといってもドラフト2位の黒木優太だ。最速153キロのストレートと鋭いスライダーが武器のルーキーが早くも8回のセットアッパーに定着。9試合で防御率1.00の好成績を挙げている。
さらにはプロ4年目の吉田一将も先発からのタスキをしっかりと受け取り、ドラフト8位ルーキーの巨漢・澤田圭佑も3試合連続無失点中。現在は2軍調整中だが、プロ3年目の山崎福也はロングリリーフで好投を見せていた。
20代のフレッシュなリリーフ陣が続々と登場し、勝利の方程式、継投策がガラッと変わった。
糸井嘉男がFAで阪神に移籍したことで、一番心配されていたのは打撃陣。しかし、ここも復調に次ぐ復調だ。
トップバッターを務める宮崎祐樹が30歳にして本格化。打率.360と打ちまくれば、FA移籍3年目の小谷野栄一も打率.364。若手から中堅に差し掛かる駿太も打率.311と3割台をキープしている。
とどめはT-岡田の爆発。昨季も打率.284、20本塁打、76打点と孤軍奮闘したが、今季はさらに凄みを増し、打率.361、すでにリーグトップタイの7本塁打をかっ飛ばしている。
5本塁打を放っている新4番・ロメロは左ヒザの負傷で離脱中だが、それを補えるだけの戦力が今のオリックスにはある。
昨季終盤に見せた希望が早くも花開きつつある。春の椿事で終わらない本当の強さをここから先も見せられるか。
文=落合初春(おちあい・もとはる)