昨季は全143試合に出場し、打率.302、25本塁打、81打点を記録。ゴールデン・グラブ賞とベストナインに輝くなど攻守に結果を残した村田修一(巨人から戦力外通告)。しかし、今季はマギーの加入もありいきなりベンチ要員に。最終的には118試合に出場し、打席数は424と前年よりも152打席も減ったものの、チーム4位の58打点とそれなりの数字は残した。
にもかかわらず、今オフには若返りのチーム方針のため戦力外通告……。11月末の段階では、まだ移籍先は決まっていないものの、一塁と三塁の守備には安定感があり、打撃もある程度の計算が立つ。球団によっては、まずは右の代打として使いつつ、というお試し起用もアリではないだろうか。
出場機会を求めて広島を退団した梵英心も移籍先が未定だ。2006年には新人王、2010年には盗塁王(43盗塁)とゴールデン・グラブ賞を獲得した実力者も、昨季は1軍で7試合、今季は1軍昇格なしと厳しい状況に置かれている。
広島・三次高出身(駒澤大、日産自動車を経て広島入団)の生え抜き選手で、暗黒時代の広島を支えた主力メンバーだけに、ファンも気になっていることだろう。希望すればコーチとしてチームに残れたはずだが、かつて痛めたヒザも完治しており、まだまだプレーできる自信があるからこその現役続行志願なのだろう。国内に限らず、アジアやヨーロッパでのプレーも視野に入れているという。
ソフトバンクのバックアップ捕手、右の代打として貴重な存在だった鶴岡慎也。こちらは移籍前提のFA宣言だ。2013年オフに日本ハムからFA移籍しており、今回が2度目のFA権利行使となる。
今季は29試合と少ない出場機会ながら、打率.321(28打数9安打)となかなかのアベレージ。日本シリーズ第4戦で8回1死から代打で登場し、DeNA・濱口遥大のノーヒットノーランを阻止する二塁打を放つなど勝負強さも見せた。また、今季、急成長した甲斐拓也にはことあるごとにアドバイスを送り、チーム力の底上げにも貢献している。
どのチームも捕手不足には頭を悩ませている昨今。需要はありそうだが…。
(※編集部注=11月29日に日本ハムから鶴岡に連絡が入り、鶴岡の古巣・日本ハム復帰が濃厚となった)
ほかにも松坂大輔(ソフトバンク退団)、久保裕也(楽天戦力外通告)ら実績のあるベテランたちが移籍先を模索中。その一方で、楽天の松井稼頭央は西武へ、西武の渡辺直人は楽天への移籍が決定。来季はそれぞれプロ生活をスタートさせた球団でプレーすることになった。
若手の台頭にはワクワク感があるが、ベテランの渋い活躍もまたしびれるものがある。移籍先が決まらない選手たちが、来季もユニフォームを着てグラウンドを駆け回ることを願ってやまない。
文=藤山剣(ふじやま・けん)