甘いマスクで女性ファンの心をわしづかみにする「ゾノ」といえば、下園辰哉である。驚異的な選球眼のよさを誇り、その眼力は「ゾノアイ」と呼ばれている。
また、極めて高い代打成功率でも代打の切り札たちのなかで一目置かれ、左投手を苦手にしない左打者としても知る人ぞ知る存在だ。近頃は試合を決める一発も多くなり、ますます代打職人としての熟練度を上げている。
「ニコ」の愛称で親しまれる乙坂智。本名は乙坂・ルーセロ・智・ニコラス。アメリカ人の父を持つ、横浜高出身の俊足強打の打者だ。下園にも負けないイケメンだが、見ようによれば「Mr.ビーン」にも似ていなくもない!?
駒澤大在学中は東都大学リーグで首位打者をつかみ、DeNAにドラフト1位入団した白崎浩之は、走攻守揃った若きスラッガー。
今年から背番号6となり、スタメン定着を目論んでいる。首脳陣からの信頼を高めることができれば、さらに出場機会が激増するにちがいない。
「DeNAの代打の切り札の座は、まだまだ誰にも譲らない!」
そんな声が聞こえてきそうな選手といえば、なんといっても後藤G武敏だ。純粋な日本人にもかかわらず「ゴメス」の愛称を持つ後藤は、法政大時代には東京六大学リーグで三冠王を達成。非凡な才能を持ちながらも、今年は出場機会が限られていた。
しかし7月13日の中日戦では、ここぞという場面でタイムリー二塁打。代打の切り札の仕事をきっちりこなして見せた。後藤の打撃はCS出場には欠かせない。
新生「マシンガン打線」の誕生ともてはやされるなか、ますます存在感を増す代打陣。ほかにも山下幸輝、さらにスタメン定着を狙う宮崎敏郎らがひしめき合い、さらなる切磋琢磨を期待できそうだ。
戦いの場がCSなどの短期決戦になればなるほど、代打の切り札たちの腕の見せどころがやってくるはずだ。
文=元井靖行(もとい・やすゆき)