まずは、ヤクルトファンならずとも、復帰を誰よりも望まれている男が由規だ。
6月22日のイースタンリーグにおいて1軍首脳陣の前で「一発快投」を披露。翌日には、真中満監督のお墨付きで支配下登録が決定した。
まずは中10日程度の起用が予想されるが、シーズン終盤に中6日で投げられるようになると、今シーズンの救世主としてだけではなく、来シーズンへの期待も高まる。
救世主・由規の登場は7月9日(予定)の神宮球場だ。
由規と同じく右肩の故障で育成契約となっていた平井諒も救世主候補のひとり。由規より一足早い6月6日に支配下登録され、すでに1軍登板も果たしている。
平井は、ヤクルトの日本人投手では珍しく150キロを超えるストレートで勝負できる豪腕だが、なにぶん故障からの復帰とあって、連投に耐えられるのかが心配だった。
しかし、6月25日、26日の中日戦でいずれも1回無失点の好投。連投テストもクリアした。
登録抹消のオンドルセクに代わって秋吉亮がクローザーに配置転換されるのは、セットアッパー・平井にめどが立ったことも影響しているはずだ。
ブルペン陣を支える救世主として平井が名乗りを上げた。
今シーズン、館山は開幕ローテーションに入ったものの2試合に登板したのみで登録抹消。手術の一報を受け、「またトミー・ジョン!?」、「腱はまだあるのか?」などの声もあった。幸いというべきか、トミー・ジョン手術ではなく右ヒジのクリーニング手術だったので、胸をなでおろしたファンも多いだろう。
その館山も7月に復帰予定。6月28日に復帰して、7月からローテーションを担った昨シーズンの経験があるので、調整の仕方も大丈夫だろう。
2年連続で救世主になるべく、館山も復帰への準備を進める。
由規、館山で先発ローテーションを埋められれば、大きな戦力アップ。そして、平井がセットアッパーとしてゲームをつなぐ。
ヤクルトのクライマックスシリーズ進出は、救世主たちの腕にかかっているといっても過言ではない。
文=勝田 聡(かつた さとし)
松坂世代のひとつ上にあたりサッカーの黄金世代となる1979年生まれ東京育ち。プロ野球、MLB、女子プロ野球、独立リーグと幅広く野球を観戦。 様々な野球を年間約50試合現地観戦し写真を撮影する。プロ野球12球団のファンクラブ全てに入会してみたり、発売されている選手名鑑を全て購入してみたりと幅広く活動中