上位3チームが早々に決まったパ・リーグに対し、セ・リーグは広島の優勝決定こそ早かったが、2、3位の争いはシーズン終了間際までもつれた。最終的には阪神が2位を確保し、昨年に続いて3位にはDeNAが食い込んだ。
その結果、10月14日(土)から16日(月)の3日間で行われるクライマックスシリーズのファーストステージは、甲子園を舞台にして阪神とDeNAが戦うことになった。
今季の直接対決では、阪神が14勝、DeNAが11勝で引き分けが1つ。ただ、甲子園での試合に限ればDeNAが7勝、阪神が6勝と、阪神の本拠地にも関わらず勝敗が逆転する。
大事な初戦の先発投手は、阪神がメッセンジャーか秋山拓巳が有力。骨折から復帰したメッセンジャーは、どこまで調子を戻しているかがポイント。今季のDeNA戦は、2試合に登板し1勝1敗、防御率3.00だった。キャリアハイを大幅に更新するシーズン12勝を挙げた秋山は、DeNA戦では4試合に登板し2勝1敗、防御率5.48。メッセンジャー、秋山ともに、万全とは言い難い成績が残っている。
一方のDeNAは今永昇太かウィーランドになりそう。こちらは両投手とも阪神戦は好相性で、とくに今永は、今季の甲子園では3戦3勝で防御率0.48。失点はわずか1だ。ウィーランドも甲子園で2戦2勝、防御率1.76と好投している。
先発投手の安定感、打線の破壊力はDeNAが上回る。阪神としては、犠打や足を絡めた野球で、自慢のリリーフ陣につなげられるような展開に持ち込みたい。乱打戦になればDeNA、ロースコアの接戦なら阪神に勝機がありそうだ。レギュラーシーズン3位のDeNAが下克上を果たす可能性も十分だ。
広島がマツダスタジアムで待ち構えるファイナルステージは、10月18日(水)から6日間の日程で行われる。ペナントレースを制した広島に1勝のアドバンテージが与えられ、それも含めて先に4勝したチームが日本シリーズ進出となる。
レギュラーシーズンでの成績は、広島から見て、対阪神が14勝10敗1分、対DeNAが12勝13敗。リーグ内で唯一負け越したのがDeNAでもあり、広島としては、できれば阪神と戦いたいところかもしれない。
ただ、昨年もDeNAとはレギュラーシーズンで13勝12敗とほぼ互角の成績でありながら、ファイナルステージでは4勝1敗(アドバンテージ含む)と圧倒した。
2位以下に10ゲーム以上の差をつけてセ・リーグを制した地力、ホームの利、さらには1勝のアドバンテージもある。阪神、DeNAのどちらが相手でも広島が有利なのは変わらない。
広島の懸念は、最後の実戦から間隔が空くことか。昨年は、レギュラーシーズンの最終戦からCS初戦まで中10日だったが、今年は中16日とさらに長い。すでにエンジンが暖まった状態で乗り込んでくるファーストステージの勝者が、その勢いで広島ナインを慌てさせる場面もないとは言えない。心身のコンディションを初戦の10月18日に合わせられるかがカギとなる。
みやざきフェニックス・リーグや紅白戦等を有効に使い、ベストパフォーマンスで好ゲームを繰り広げてくれることを期待したい。
(成績は10月5日現在)
文=藤山剣(ふじやま・けん)