ドラフト指名選手にまつわるさまざまな「ジンクス」「呪い」「法則」を取りあげてきたこのコーナー。最終回は、「2015年指名選手にはいなかったけれど、以前はこんな話題もあった」というジンクス、法則を紹介したい。最近のルーキーたちの活躍度をはかる試金石として、さらには来季以降の奮起を促す材料としてチェックいただければ幸いだ。
古くはスタルヒン(元巨人)や皆川睦雄(元南海)といった名球会投手から、懐かしいところでは斎藤雅樹(元巨人)や渡辺久信(元西武ほか)などが夏の地方大会決勝で涙を飲んでいる。
現役選手でも三浦大輔(DeNA)、内海哲也(巨人)、成瀬善久、小川泰弘(ヤクルト)など、各チームのエースが決勝で敗退しているのが興味深い。そのなかでも、象徴的な存在といえるのが大谷翔平(日本ハム)だろう。
福留孝介(阪神)や大島洋平(中日)など、タイトルホルダーを多数輩出。過去には新谷博(元西武ほか)や仁志敏久(元巨人ほか)など、チームリーダーの素質がある名前が並ぶのも「日本生命」出身選手たちの特徴といえる。
今年、その日本生命は都市対抗と社会人日本選手権で史上3チーム目の2冠を達成。にもかかわらず、指名選手ゼロという意外な形になった。チームの左腕エース清水翔太はドラフト当日、スーツ姿で待機するものの指名は叶わず。その無念を晴らすかのように、ドラフト直後の試合で完封勝利をおさめた。清水には是非とも、次回ドラフトでの高評価と、プロでも法則通りに活躍する未来を期待したい。
また、近年の日本生命出身者といえば、2013年ドラフトで4名(巨人1位・小林誠司、DeNA1位・柿田裕太、ロッテ4位・吉原正平、同5位・井上晴哉)もの選手が一気に指名されたことが記憶に新しい。だが、小林は正捕手争いで苦戦し、柿田は2年間で1軍登板ゼロ。吉原は半月板損傷で手術。井上晴哉も今となってはルーキー時のオープン戦が一番目立っていた。
日本生命の法則はもう過去のもの……そんな言葉を投げかけられないためにも、来季、3年目に賭けるしかない!
松本啓二朗(2008年1位 ※早稲田大)、新沼慎二(1997年2位 ※仙台育英高)、紀田彰一(1994年1位 ※横浜高)……横浜ベイスターズや大洋時代を含めて、DeNAが競合の末に獲得した選手で華々しく活躍した例は見当たらない。
1984年は1位で竹田光訓(明治大)、2位で日野喜朗(新日鐵大分)をともに3球団と競合して獲得。だが、2人とも見合った活躍を見せることができずに引退。そして2013年ドラフトでは外れ1位とはいえ、3球団の競合の末に柿田裕太を獲得。だが、上述したようにまだ1軍登板がない。
2015年ドラフトでは、今季の不調から多くの球団が1位候補から外した、ともいわれる今永昇太(駒澤大)を果敢に1位指名。無事、「単独」での指名に成功した。この選択が吉となるかどうかは、来季以降の今永の結果で見定めるしかない。
名門校といえどもなかなか甲子園の土を踏むことは難しくなった時代。にもかかわらず、毎年のように甲子園に出続ける学校がある。有名なのが智辯和歌山高(和歌山)と聖光学院高(福島)の2校だ。
智辯和歌山高は21世紀以降の15年間で11回、聖光学院高は12回(9年連続出場中)も夏の甲子園に出場するという、まさに「王朝」状態。にもかかわらず、両校出身選手でプロの世界で華々しく活躍した事例は少ない。
そんなジンクスを気にしてか、指名有力とも言われていた智辯和歌山高の春野航輝が指名漏れ。聖光学院高からも指名選手は生まれなかった。
ただ、智辯和歌山に関しては、日本ハムの西川遥輝(2010年2位)が2014年に盗塁王を獲得。中日の岡田俊哉(2009年1位)も不動のセットアッパーとしてチームに欠かせない存在になっている。