◎ 第三回 3.6キューバ攻略大作戦!<ベスト5>
ついに開幕した2013WORLD BASEBALL CLASSIC。第1ラウンドA組の日本は苦しみながらもブラジルを撃破。翌日の中国戦にも勝って連勝し、1位通過の最大の難敵は予想通りキューバに絞られた。キューバといえば長きに渡り日本と激戦を繰り広げてきた因縁のライバル国。実力伯仲の両国だが、日本はどうやったらキューバを倒せるか、あの手この手の攻略法を考えた!
■Best1 ◎接戦に持ち込む考え方はNG!〜戦意喪失ゲームメイク大作戦〜
正式名称は「キューバ共和国」。カリブ海に浮かぶラテンアメリカ系の共和制国家であり、基本は陽気な「ラテン」な国。序盤に日本が大量得点をお見舞いすれば、「ラテン」のノリで試合を諦める可能性が強い。そうなったら日本のモノ。他のラテン系の国々と比べると執念深さがある感も否めないので、もちろん油断は禁物だが、ブラジルと中国に連勝している日本が優位に試合を進めることができれば、もしかしたらキューバはA組の2位狙いに切り替える可能性もある。
中国戦でスカッと一発、走者一掃のタイムリーを放った糸井嘉男(日本ハム)が引き続き打点を挙げ、さらには不調の長野久義(巨人)がチャンスで打ってくれれば打線は一気に繋がって大量得点が望めるだろう。是非とも序盤に先制パンチをお見舞いして、キューバの「やる気」を喪失させて欲しい!
■Best2 ◎キューバのイメージにとらわれるな!〜コンプレックス克服攻略法〜 キンデラン、
パチェコ、
リナレス…。ヘルメットの下にツノがあるんじゃないかと思わせるような「鬼」のようなバッターたちが力任せにバットを振り、フォロースルーではバットが背中にぶち当たるような豪快なスイングをみせていたキューバ打線。かつて日本はオリンピックなどの国際大会で、何度もそのパワフルなキューバ打線に苦汁を飲まされてきた。目を閉じればあの赤いユニフォームの軍団にボコボコにされた日本チームが浮かんでくるが、ちょっと待って! 最近はそうでもないのだ。
キューバ野球全体が昔のパワー重視の荒っぽい野球から、投手力を中心とした細かな野球にシフトしている傾向があり、また近年のトレーニング方法の進化も手伝って、体格についても決して引けを取らない日本選手が揃っている。また当時と比較しても日本野球はそのキューバのパワーを封じ込める投手力を中心とした「細かい技術」も数段アップした。過去の「鬼」を恐れることはないのだ、侍JAPAN!
■Best3 ◎”荒れ球”投手で勝負せよ!〜投手起用大作戦〜
そうはいってもやはりキューバ打線、ブラジルや中国と比べて強力なのは間違いない。攻め方を間違えると1番打者から9番打者まで、スタンドにブチ込む長打力を持っている。例えると「脚の速いカブレラ(元西武ほか)」が揃っている印象だ。あのカブレラは皆さんもご存じのケタ外れの長打力が印象的だが、特筆すべきはそこだけではない。日本人投手の対外国人専用の必殺技のアウトコースに沈む変化球に対して、その長い腕を上手に使ってチョコンと当てて、セカンドの頭上を越えるヒットを打つ技術を持っていた。
そしてキューバの各打者も同じような高等テクニックを持っているので、そこを封じ込めたい。対策方法としてはズバリ、ストライクゾーンからやや離れた「荒れ球」をビシビシ投げ込む投手をぶつけることだろう。制球がなまじ良い投手だと、ストライクゾーンギリギリで勝負を挑んでしまうので、腕の長いキューバの各選手には当てられてしまう可能性が高いのだ。そこで活躍するのは
能見篤史(阪神)だろう。ブラジル戦でも安定感抜群の投球をみせた能見投手だが、調子の良い投手を積極的に起用するのは短期決戦でのセオリー。できればリードしたケースでの登板を期待したい。
■Best4 ◎細かい野球は日本のほうが上!〜機動力最大活用大作戦〜
ブラジル戦や中国戦を観ていると、失礼ながら両国とも機動力についてはまだまだレベルが低いと感じた。しかしながらキューバの手強いところは長打力もありながら、その高い身体能力を活かした機動力の素晴らしさが挙げられる。ここは警戒しなければいけない部分ではあるが、大丈夫だぞ、侍JAPAN!
両国の戦力を分析すると、総合的には日本の方が機動力は上。今回のキューバは打力を重視したメンバー構成で、あまり走れる印象のある選手は少ない。特に僅差の試合展開になった場合は
松田宣浩(ソフトバンク)のようなムードメーカーが思い切った走塁をみせるとチーム全体がノってくるので、松田が出塁したときはその機動力に注目だ。
■Best5 ◎迷わず2ストライクまでは振り抜け!〜積極打撃大作戦〜 キューバの投手に限らず、国際大会で話題に挙がるのは対戦投手の球筋。日本の投手は総じてキレイな球筋の投球をみせるが、海外の投手は総じて「汚い」球筋の投球を投げ込んでくる。キューバの投手陣は特に不思議な、日本ではあまりお目にかかれない球筋の投球をみせるだろう。
対策方法としてはズバリ、力負けしないような「力強いスイング」が必要だ。日本の各打者は2ストライクと追い込まれるまではその汚い球筋に負けないように、力強いスイングを意識して思い切り振り切ることをオススメする。特にパワーならキューバの選手に引けを取らない
中田翔(日本ハム)あたりは、余計なことは考えず追い込まれるまで積極的にブリブリ振って、その球筋に負けないように力強い打球を飛ばして欲しい。
ブラジル、中国と撃破した侍JAPAN。この勢いでキューバを破り、文句なしの第1ラウンド1位通過を決めて欲しい。頑張れ、日本!!
※次回の更新は3月7日夕方の予定です。
◎ 第一回 2013WBC日本代表メンバー発表とみどころ
◎ 第二回 コメントで振り返る、WBC初戦&第2戦レビュー
◎ 第三回 3.6キューバ攻略大作戦!<ベスト5>(今回)
今後の“侍JAPAN”の試合スケジュール
<2013 WORLD BASEBALL CLASSIC 第1ラウンド プールA>Game 6 3月6日 19:00 WBC第1ラウンド vs キューバ @ヤフオクドーム
<2013 WORLD BASEBALL CLASSIC 第2ラウンド プール1>
Game 1 3月8日 12:00 (B組1位or2位)vs(A組2位or1位)@東京ドーム
Game 2 3月8日 19:00 (A組1位or2位)vs(B組2位or1位)@東京ドームGame 3 3月9日 19:00 (Game 1 敗者)vs(Game 2 敗者)@東京ドーム
Game 4 3月10日 19:00 (Game 1 勝者)vs(Game 2 勝者)@東京ドーム
Game 5 3月11日 19:00 (Game 3 勝者)vs(Game 4 敗者)@東京ドーム
Game 6 3月12日 19:00 (Game 4 勝者)vs(Game 5 勝者)@東京ドーム
※プールA(日本、キューバ、中国、ブラジル)の上位2チームとプールB(韓国、オランダ、オーストラリア、チャイニーズ・タイペイ)の上位2チームが
ダブルエリミネーション方式(2敗した時点で敗退)で争う。
<2013 WORLD BASEBALL CLASSIC 決勝ラウンド>3月18日〜20日(日本時間) @アメリカ・サンフランシスコ AT&Tパーク
イラスト=ながさわたかひろ/ヤクルト芸術家。昨年のほぼ全試合、ヤクルト戦をイラストに起こした。それが1冊にまとまった『プロ野球ぬりえ2012全記録集』を作成。
ブログやTwitter→
@t_nagasawa
文=鈴木雷人(すずき・らいと)/会社勤めの傍ら、大好きな野球を中心とした雑食系物書きとして活動中。自他共に認める「太鼓持ちライター」であり、千葉ロッテファンでもある。Twitterは
@suzukiwrite
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