セ・リーグのペナントレースが風雲急を告げている。オールスター前後のダンゴ状態を経て、お盆前には巨人、阪神、ヤクルトの3チームでAクラスは決まりという状況まで進んでいたが、ここにきて息を吹き返した広島がその争いに割って入ってきそうな雰囲気なのだ(成績は9月3日現在)。
9月2日の阪神戦は、前田健太の7回1失点の好投もあって5対1で勝利。これにより、3位の巨人に2.5ゲーム差まで接近、その1ゲーム先に1位ヤクルトと2位阪神が位置しているため、首位まで3.5ゲームと詰め寄った。
前田、ジョンソン、黒田博樹、福井優也といった先発陣がしっかりと試合を作れているのが、好調の要因でもある。期待されながらも、ここ3年は2勝、0勝、4勝と伸び悩んでいた福井が、今季はここまで9勝とキャリアハイの勝ち星をマークしている。
リリーフ陣も大瀬良大地から中崎翔太へとつなぐ形が確立。昨年は先発として10勝を挙げ新人王も獲得した大瀬良だったが、今季の序盤は好投しても勝ち星に恵まれない試合が多く、6月からセットアッパーへ。経験を積み、ようやく安定感が出てきた。中崎も7月以降は22試合に登板し、自責点がついたのは2試合のみ。粘り強い投球を続けている。
一方の打線も、ベテランの新井貴浩が9月2日の試合ではホームスチールを成功させるなどチームを盛り上げ、丸佳浩や松山竜平も8月の月間打率が3割を超える活躍を見せている。
最後の優勝は1991年で、12球団で最も優勝から遠ざかっている広島。その記録をいつまでも延ばし続けるわけにはいかない。9月3日の阪神戦には敗れて、首位とのゲーム差は4.5差と広がったものの、残りは26試合。そのうち、上位とぶつかる9月4日からの対ヤクルト3連戦(神宮)、9月11日からの対阪神3連戦(甲子園)の結果次第では、今季初の首位に立つ可能性は十分。本当の勝負はここからだ。
(文=藤山剣)