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味のある男たち。大城滉二、小島脩平ら内外野を守るオリックスのユーティリティープレーヤーたち

味のある男たち。大城滉二、小島脩平ら内外野を守るオリックスのユーティリティープレーヤーたち

 内野と外野、その両方をこなす選手をユーティリティープレーヤーと呼ぶ。選手が複数のポジションを守れると、彼らを起用する監督の選択肢の幅も広がり、なにかと便利である。また、選手としても、出場のチャンスが増える可能性がある。

 今回は、オリックスで活躍しているユーティリティープレーヤーをピックアップしてみた。

大城が3つのポジションを守り3安打


 7月1日、オリックスはメットライフドームでの西武戦に4対2で勝利。この試合でヒーローになったのが大城滉二だ。

 大城は8番・遊撃で起用され、2回表に無死満塁のチャンスで打順が回ってくる。ここで期待に応えてライト前に渋いタイムリーヒットを放ち、2点先制する。その後も連続で安打を放ち、猛打賞の大活躍。守備は遊撃から三塁、そして二塁へと3つのポジションを務めた。

 大城は内野手登録。立教大時代は遊撃手としてならした。しかし、オリックスの遊撃には安達了一という確固たるレギュラーがいる。その牙城を崩すのは、なかなか難しい。

 大城は出場機会を求めて、遊撃以外の内野のポジションも守れるように練習した。さらに、外野の守備練習もはじめた。今では、中堅手としても無難にこなしている。今シーズンは二塁、三塁、遊撃、左翼、中堅の5つの守備位置で出場している。

小島がプロ初本塁打


 6月24日、ほっともっとフィールド神戸でのロッテ戦。1対1の同点で迎えた8回裏、オリックスは2死走者無し。ここで2番・二塁で先発出場していた小島脩平がプロ入り初のホームランを放った。この得点が決勝点となり、小島はヒーローインタビューをうけることとなった。

 守備では8回に二塁から中堅へ交代。ユーティリティープレーヤーらしく、複数ポジションでの出場だった。

 小島は大学、社会人時代は主に二塁を守っていたが、プロ入り後は俊足を生かすため外野も練習。徐々に出場機会を伸ばしていった。

 今季は楽天との開幕戦で、7番・左翼でスタメン起用されたが、その試合で右ふくらはぎ肉離れを発症。登録抹消されたが、6月15日に復帰。ここまで二塁、左翼、中堅で出場している。


全ポジション出場の五十嵐


 引退した選手になるが、オリックスに在籍した究極のユーティリティープレーヤーといえば、全ポジションでの出場を達成した五十嵐章人だろう。ロッテ、オリックス、近鉄で活躍した選手だ。

 当然、全ポジションを守るのは簡単なことではない。達成するには、投手と捕手という専門ポジションをどう守るかがキーとなる。

 五十嵐は前橋商で投手として甲子園に出場。社会人の日本石油で野手に転向し、主に外野手として出場していた。1990年のドラフト3位でロッテに入団。当初は外野手として起用されていたが、後に二塁、遊撃を中心に内野を守るようになる。

 1995年5月7日、千葉マリンスタジアムでのロッテ対オリックス。ロッテは2番手で出場していた捕手が退場処分になり、控え捕手がいなくなってしまう。そこで、バレンタイン監督は五十嵐を捕手として起用。こうして五十嵐はプロとして最初で最後の捕手出場を果たした。

 五十嵐はその後にオリックスへ移籍。2000年6月3日、大阪ドームでのオリックス対近鉄。8回裏、16対3と近鉄が大量リードの場面で、オリックスの仰木彬監督は4番手投手として五十嵐を起用。この采配は、ほぼ試合が決していたことと、五十嵐の「全ポジション出場記録」を仰木監督が知っていたからだ。五十嵐は1イニングをみごと無失点に抑えた。


守備だけでなく攻撃にも味がある


 ユーティリティープレーヤーには、内外野の守備に適応する器用さが必要だ。加えて、打撃や走塁面での魅力がなければ使ってもらえない。足が速い、バントがうまい、ヒットエンドランを決められるなどの特性が求められるのだ。

 大城や小島はそれらを兼ね備えている選手だ。今後もチームの勝利のために「技」で貢献することを期待する。


文=矢上豊(やがみ・ゆたか)
関西在住の山本昌世代。初めてのプロ野球観戦は、今はなき大阪球場での南海対阪急戦と、生粋の関西パ・リーグ党。以来、阪急、オリックス一筋の熱狂的ファン。プロ野球のみならず、関西の大学、社会人などのアマチュア野球も年間を通じて観戦中。

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