彼等の紹介よりも前に、ドミニカ・カープアカデミーを紹介しよう。
ドミニカ・カープアカデミーとは、1987年に当時の広島・松田耕平オーナーにより、自前で選手を発掘・育成する事を目的として設立された野球学校である。
同アカデミー出身者には、後にMLBのスーパースターとなるアルフォンソ・ソリアーノや、同じくMLBで活躍したティモ・ペレス、NPBで大活躍したロビンソン・チェコなどがいる。
最盛期には40人ほどの選手を抱えオーナードミニカン・サマーリーグを制するなど、名門アカデミーとしてその名を馳るも、リーグ脱退や、球団の経費削減で衰退。いつかしか契約選手もわずかに4人にまで減ってしまい、試合すらままならない状況へと追い込まれてしまう。
広島市民球場の10倍の面積を誇った練習施設も巨大な廃墟と化し、カープアカデミーの名は忘れさられていった。
しかし2012年、現オーナーの松田元の、ドミニカ視察を機に事態は急変。廃墟と化した練習施設を見て悲しんだ松田オーナーは、再び育成路線の復活を指示。荒廃していたアカデミー施設も再整備され、2014年には、アカデミー練習生だったライネル・ロサリオが選手契約を結ぶなど、再びドミニカアカデミーからジャパニーズドリームを目指す若者たちが集まりだしたのだった。
その波に乗り、日本にやってきたバティスタとメヒア。
共に秋季キャンプで、結果を出し今回の招集に繋がった。
バティスタ(写真)は、189センチ110キロ。その体格が示すように規格外のパワーが持ち味。飛距離だけならチーム屈指とも言われる。
アカデミー入り半年で来日を勝ち取った、潜在能力溢れる練習生の中で最も注目される選手だ。ちなみに自身が使うバットは菊池涼介から譲り受けたものだ。
メヒアは、192センチ104キロ。巨体に似合わぬ軽快な三塁守備も注目される器用な選手だ。先の練習試合では、解説の野田浩司から絶賛されるなど、完成度はバティスタより上との声もある。前年まで広島で活躍したレイネル・ロサリオよりも早くアカデミー入りしながらも、2年以上も練習漬けだった苦労人。待望の来日に燃えている。
まだまだ粗削りで穴の多い2人だが、バティスタが23歳、メヒアは22歳とかなり若い。このまま実戦経験を積めば、かなりの成長が期待できそうだ。
強風、時期、色々な要素はあれど、昨シーズン2桁勝利を挙げた実績のあるオリックス・東明大貴から本塁打を放ったポテンシャルの高さとパワーには、大きな魅力と将来性を感じる。
また、日本人にはない身体能力と体格、何より、バティスタ、メヒアといういかにも本塁打を打ちそうな名前にも、大いなるロマンを感じずにはいられない。
しかし、今シーズンの広島の外国人は6選手。支配下登録を勝ち取り1軍出場を果たすのは至難の技だ。まずは育成契約を勝ち取ってほしい。そして、近い将来1軍の舞台で、再び彼等がアベックアーチを架ける日を期待したい。
文=井上智博(いのうえ・ともひろ)