好評発売中の『別冊野球太郎2014球春号〜プロ野球呪いのハンドブック』(発行・イマジニア株式会社ナックルボールスタジアム/発売・廣済堂出版)。本書を参考に、12球団の呪いポイントと解消ポイントを考察していこう、というこのコーナー。今週からはいよいよ前年Aクラス編に突入! まずは3位の千葉ロッテマリーンズと広島東洋カープ編です。
△2013年パ・リーグ3位:ロッテの応援ポイント▽
もう空砲の花火はいらない!
ロッテの本拠地・QVCマリンフィールドといえば、5回終了時の打ち上げ花火が名物だ。今シーズンは平日ナイターを中心に38試合で約300発打ち上がる予定になっている。
ところが、ロッテのもうひとつの花火=本塁打では、ここ数年、「空砲」が続いているのをご存知だろうか? 「空砲」とは、チームに勝ちがつかなかったときの本塁打のこと。チームの総本塁打に占める「空砲」の割合が、3年連続で40%を超え、3年連続でリーグワーストの数値なのだ(※2013年はワーストタイ)。特に、井口資仁(43%)、ブラゼル(45%)、根元俊一(63%)と、チームの主軸に空砲が目立ったのが痛い。
今季はむしろ、彼らが本塁打を放ったときにこそ、チームが勝てるように、もっともっと応援に力を入れたほうがいいかもしれない。
「お見合い」はもうこりごり
FAで涌井秀章も加入し、投手陣の活躍が例年以上に楽しみな今季。懸念材料があるとすれば、三振の数が少なく、ゴロよりもフライの数の方が多いことだ。
「応援ポイントその1」に続いて登場するロッテの本拠地・QVCマリンフィールドは花火とともに「強風」も名物。必然的に難しいフライが多くなり、野手間で譲り合ってしまう“お見合い”が増えてしまう。昨季のロッテでは、12球団で最多となる“3つのお見合い”が発生してしまったが、そのうち2つが本拠地で生まれている。
観戦の際は、まずはフライが打たれないように念を送り、もしフライが発生したら風が吹かないことを強く念じてみよう。
夏にこそ声援を送ろう!
昨季、6月終了時点では首位に立っていたロッテ。ところが7月に入ると突如失速。6勝13敗と大きく負け越し、一気に3位にまで順位を下げてしまった。
一番の原因は投手陣の不調だ。7月は投手部門のほとんどの項目でリーグワーストを記録してしまった。8月に入ると投手陣は持ち直したものの、今度は打線のキーマンである井口のバットが湿りがち。7月終了時点では打率.328と首位打者もうかがう好成績だったが、8月以降で一気に3分以上打率を落としてしまった。
もっとも、井口が夏に調子を落とすのは去年だけの話ではなく、日本球界復帰以降、5年連続で8月以降に数字を落としている。やはり、投打が噛み合なければ、厳しい夏の連戦は勝ち上がれないのだ。
開幕4番に温かい眼差しを
広島には「開幕4番の呪い」というものがある。過去3年で開幕4番の座に座った選手(11年:トレーシー、12年:栗原健太、13年:エルドレッド)が、揃ってフル出場できていないのだ。3選手の出場試合数を合計しても年間試合数の144に届かないほど。開幕4番という名誉あるポジションのはずが、すっかり「呪われた打順」になってしまっている。
今季、オープン戦でのスタメンや結果を見る限り、最有力候補はキラ。果たして、シーズン終盤には誰が4番を務めているのか。過度なプレッシャーは与えずに、しっかり注視しよう。
エラーを減らせば笑顔が増える!
昨季、広島からは前田健太(投手)、菊池涼介(二塁手)、丸佳浩(外野手)の3選手がゴールデングラブ賞に選出された。他にも、あの名手・宮本慎也(元ヤクルト)がベタ褒めしているショートの梵英心、守備固めとして頼もしいベタラン勢の赤松真人や天谷宗一郎など、一見鉄壁のように見える広島守備陣。ところが、昨季のチーム失策数106はリーグワースト。12球団で唯一の3ケタを記録してしまった。
これは、守備範囲が広すぎるから、という見方もできるのは事実だ。その証拠に、併殺打を奪った割合はリーグ1位の13%。ピンチの芽はしっかりと積んでいる。だが、やはり3ケタはいくらなんでも多すぎるだろう。投手陣は前田健太を筆頭に頭数は揃っているだけに、鉄壁の守備が実現できれば、ディフェンス面では他チームを圧倒できる可能性も大だ。今一度、エラーには厳しい視線を送ってみてもいいだろう。
サウスポー求む!
江夏豊、大野豊、川口和久……。「投手王国」といわれた広島でも、特に印象深い左腕の系譜。ところが、ここ数年は信頼できる左投手が不在だ。昨季は左投手の先発勝利がたったの2勝に終わってしまった。
それだけに、新外国人選手のフィリップスに期待がかかっていたのだが……15日、開幕1軍の構想から外されてしまった。しかも、結果が出せていないからではなく、「いい投球をしていたけれど、外国人枠の問題がある」(山内投手コーチ)という理由。本気で左不足を解消する気があるのだろうか?
フィリップスの早期1軍入り。そして若手左腕の中村恭平や戸田隆矢の台頭を期待しつつ、気持ちは早くも次のドラフトに。ここ数年、当たり続きのドラフトで、有望な左投手が入団することを今から願っておこう。
■ライター・プロフィール
オグマナオト/1977年生まれ、福島県出身。広告会社勤務の後、フリーライターに転身。「エキレビ!」では野球関連本やスポーツ漫画の書評などスポーツネタを中心に執筆中。『木田優夫のプロ野球選手迷鑑』(新紀元社)では構成を、『漫画・うんちくプロ野球』(メディアファクトリー新書)では監修とコラム執筆を担当している。ツイッター/@oguman1977