もうすぐ9月。プロ野球は終盤戦に突入する。CS争い、あるいは来季に備えて、カンフル剤を求めるチームも多いはず。そこで2軍に控えている若手から救世主となりそうな“隠し球”をピックアップしてみたい。
(成績は8月15日時点)
並み居る今年の高卒ルーキーの中で一際輝かしい成績を残しているのは、巨人・山下航汰だ。2018年の育成ドラフト1位。その時点でお買い得と言われたが、自慢のバッティングが早くもプロレベルに到達。2軍で74試合に出場し、打率.329、5本塁打、27打点、出塁率.380を記録している。
7月5日には育成から支配下登録され、8月2日から5日にかけては出場こそなかったが、1軍の空気を吸った。しかし、まだ使う余地はある。
ビヤヌエバが調子を崩して2軍降格。最近は阿部慎之助がスタメン出場する試合が増えてきた。そうなれば左の代打が不足する。乗りに乗った今ならば、チームに活を入れる代打の切り札になれるのではないだろうか。優勝争いをしていなければ、もうデビューしていてもおかしくはない逸材だ。
石田健大の先発復帰でローテーションが固まりつつあるDeNAだが、中川虎大に2度目のチャンスを与えるのも悪くない。高卒2年目の今季は2軍で14試合に登板。78回を投げ、9勝3敗、防御率1.85の好成績で支配下登録を果たした。
7月28日、中日戦で1軍初出場・初先発を果たしたが、2回1失点でベンチは継投策を選んだ。しかし、中川をローテの6枚目として上積みできれば、CS進出は磐石だ。
打線が湿り気味になってきた阪神。さらに糸井嘉男が足首を痛めて離脱し、Aクラス争いに黄信号が灯っている。そこで今一度推したいのは、江越大賀だ。今年は1軍で41試合に出場しているものの、打率.077。しかし、14打席にしか立っていない。
それでも2軍では26試合で打率.291、6本塁打、21打点、出塁率.351をマークしており、以前のような粗さは取れてきている。陽川尚将のバットが奮っていない現状、江越の駆け上がりに賭けてみるのも面白いかもしれない。
投壊気味の西武はCS圏内死守のためにも相内誠を投入するほかないだろう。4月25日、5月3日に2度の1軍先発のチャンスがあったが、計9回1/3で12失点の乱調。しかし、2軍では状態を立て直し、12試合で6勝4敗、防御率2.31の好投を見せている。再び1軍で試す価値はある。
文=落合初春(おちあい・もとはる)