前回の記事で根尾昂(大阪桐蔭)を紹介したが、同じく大阪桐蔭のミレニアム世代として欠かせないのが、2年生ながらリードオフマンを務める藤原恭大だ。
藤原は中学時代から強豪の枚方ボーイズに所属し、ボーイズ選手権やジャイアンツカップで優勝するなど輝かしい成績を残してきた。大阪桐蔭でも1年の夏から中堅のレギュラーを奪い、秋には1番に定着。高校野球の最前線を走り続けている。
ただ、そんなスーパー2年生も、今年のセンバツでは決勝までの4試合で19打数2安打と苦しんだ。しかし、履正社との決勝戦では、それまでの不振がウソのように3安打2本塁打の大暴れ。
この夏の甲子園出場を決めた大阪大会決勝・大冠戦でも、「狙って」一発を放つなど大舞台に動じない強さを見せつけた。
中村剛也、浅村栄斗(ともに西武)、中田翔(日本ハム)らプロ野球で活躍する選手を次々と輩出する強豪にあって、藤原は「歴代最強打者」とも囁かれている。来年の夏、最上級生として挑む第100回大会で、その看板を揺るぎないものとするか。
オコエ瑠偉(楽天)やアドゥワ誠(広島)など、アフリカ系の父を持つ選手が増えてきた高校野球界。ミレニアム世代にも、コンゴ人の父から授かったとびきりの身体能力を誇る選手がいる。横浜の万波中正だ。
190センチ89キロという堂々とした体躯を誇り、1年の春から早々にベンチ入り。夏の神奈川大会では、横浜スタジアムのバックスクリーンを直撃する推定飛距離135メートル弾を放つなど、驚愕の打棒を披露した。
また、当初は外野での出場だったが、現在は投手も兼任。中学時代(東練馬シニア)に最速138キロだったストレートは、今年の春の関東大会では145キロまで伸びた。投手としての今後も楽しみだ。
ちなみに中学時代は陸上部にも所属しており、砲丸投げで東京都大会優勝。全国中学校スキー大会のアルペン男子回転での優勝歴を持つ根尾よろしく他競技でも活躍していたのだが、よくぞ野球を選んでくれた。
早稲田実に入学して以降、高校野球界の話題を独り占めしてきた清宮幸太郎。なかなか現れるものではないレベルのスター選手だが、ちまたでは「ポスト清宮」を探す動きも盛ん。その1人に数えられるのが花咲徳栄の野村佑樹だ。
3年連続で夏の埼玉を制し、昨年はエースの高橋昂也が広島からドラフト2位指名を受けるなど、全国区の強豪の仲間入りを果たした花咲徳栄。そのなかにあって、1年秋から4番一塁を担ってきたのが野村だ。今春の埼玉県大会では、プロ・西武も使用する県営大宮球場でバックスクリーンへの一発を含めて4本塁打。パワフルな打撃でプロのスカウトをうならせた。
その後の関東大会では初戦で早稲田実と対戦。試合には敗れたものの、清宮の前で2点本塁打を放ち、次代のスラッガーとしての存在感を示した。
昨年の夏の甲子園は出場が叶わなかったが、今年のセンバツ、そして今夏と2季連続で甲子園に出場中。埼玉には浦和学院に佐野涼弥という有望なミレニアム世代の投手もいるが、経験も武器にして来年の夏まで甲子園連続出場を伸ばせるか。
名うての強打者が集うミレニアム世代だが、千葉にも未来の大砲候補がスタンバイ。2年連続で夏の甲子園に出場している木更津総合の野尻幸輝だ。
野尻の特徴は重厚感のある下半身と、それを土台に繰り出される鋭いスイング。
小笠原道大(中日2軍監督)を育てた五島卓道監督をして、「上級生の強打者が1年だったときよりもバットを振れている」と絶賛するスイングで、入学直後の千葉県大会で5番を任された。
ちなみに野尻は岐阜出身で、地元を離れて千葉にやってきた。それだけに夢のひとつとして、同郷の根尾と対戦することを挙げている。今大会で木更津総合と大阪桐蔭の一戦が実現するかもしれないが、記念大会でも同郷対決を叶えてほしい。
2年生ながら、チームの主役を張れるだけの実力を備えているミレニアム世代の選手たち。すでに主役級の働きを見せている選手もいるが、もう1年鍛えられたらどんな選手になるのか。
成長期にある高校球児。大会ごとの成長を見られるのも、高校野球ファンの楽しみだ。
週刊野球太郎では、今後もミレニアム世代の有力選手を追っていく。どんな選手が現れるのか、乞うご期待!
文=森田真悟(もりた・しんご)