支配下選手70人×12球団=840人、育成選手を含めると約900人弱がしのぎを削るプロ野球界。「東京大学よりも難関」と言われる狭き門だが、その分ユニークな個性を持った男たちがたくさんいる。今回は変わり種な6人の選手をピックアップしたい。
(東京ヤクルトスワローズ・投手)
“でんでん太鼓投法”が国際舞台で披露される。グラブを持つ左手が前に流れる独特なサイド右腕の秋吉が、3月5、6日のチャイニーズ・タイペイ戦に臨む侍ジャパンの一員に選ばれた。
(阪神タイガース・内野手)
阪神・今成亮太が年々存在感を増している。捕手、内野、外野を務めるユーティリティー性に加え、チームを盛り上げるムードメーカー。グラウンド内外で「いてくれると助かる」と思われているのではないか。
金本知憲新監督の発案で、昨秋から捕手へ再挑戦。春季キャンプの実戦練習では盗塁を複数回刺すなど、その肩は錆びついていないようだ。基本は三塁のレギュラーを狙っているが、オプションで「第3捕手」としての起用もあるかもしれない。
また、ソフトバンク・松田宣浩の「熱男」ならぬ「虎男」パフォーマンスを検討中とのこと。本塁打を放った際に「虎男〜!」と叫ぶのか注目だ。
(広島東洋カープ・投手)
広島のドラフト6位ルーキー・仲尾次オスカルはブラジルで生まれ育った左腕。2013年WBCでは代表の一員として、侍ジャパン相手に投げた経験も。社会人・Hondaからの入団で、即戦力として期待される。
春季キャンプは1軍メンバー入り。紅白戦では制球を乱す場面も見られたが、ボールの勢いは首脳陣や評論家から高い評価を得ているようだ。奇しくも両親が育った沖縄で行われる2次キャンプにも帯同中だ。
広島のブラジル人投手といえば、日系三世の玉木重雄(在籍中に日本へ帰化)が思い出される。仲尾次も玉木のように中継ぎでフル回転なるか。
(読売ジャイアンツ・外野手)
球界でも唯一無二の「走り屋」。ファンを魅了する足のスペシャリストは、今季でプロ20年目を迎える。
(横浜DeNAベイスターズ・投手)
久保康友は「スーパークイック」と呼ばれる素早いクイックモーションの持ち主。通常1.20秒ほどかかるクイックモーションを、1秒足らずでリリースまで持っていく。
クイックといえば走者を警戒するためにやるものと思われがちだが、久保の場合は打者を抑えるためにも使う。ボールの緩急だけでなく、フォームにも緩急をつけることで投球のパターンを無限に増やしているのだ。
(中日ドラゴンズ・投手)
無回転で揺れながら落ちるフォークを投げ込み、その独特な軌道から名付けられた「マジカルフォーク」はマツコ・デラックスや有吉弘行らが出演する某バラエティー番組でも紹介されたほど。
ただ、本人も「どこにいくかわからない」と話すだけに、使える場面は限られてくる。ある程度制御できれば抑えられるだろうが、この点が非常に惜しい。センス抜群の打撃と併せて、ぜひ1軍の先発で見てみたいものだ。
文=加賀一輝(かが・いっき)