2年連続でCSに進出していたロッテだが、2017年は投打ともにピリッとせず、球団ワースト記録となる87敗。最下位に沈み、伊東勤監督が辞任に追い込まれた。ただ、奮闘した選手はいる。その1人が初めて規定投球回に到達した二木康太だ。
二木は2013年のドラフト6位で鹿児島情報高からロッテに入団。好素材と見られていたものの高校時代に大きな実績はなく、6位指名は順当といったところだろう。その二木を『野球太郎 2013ドラフト総決算&2014大展望号』ではどのように評価していたのか。
まず、巻頭の特集ページ「プロ野球12球団ドラフト採点」を見ると、「下位でも高評価の逸材右腕」と評している。
また、同ページにある「会心の指名選手!」というコーナーでは石川歩とともにピックアップし、こう期待を込めている。
「石川歩が獲れたのはもちろん、下位の6位でも二木康太を獲れたのは会心。(中略)投球内容でいえば吉田一将(オリックス1位)と変わらない」
2013年の即戦力ドラ1・吉田一将と同じレベルの高評価を二木に与えているのは「予言的中!」いえるだろう。
しかし、高評価を与えつつも「近未来チーム編成シミュレーション」というコーナーでは、2018年の投手陣に二木の名前は入っていない。紙面の都合で先発投手を3人しか記載できず、4人目に二木を掲載したかったもののやむなくカットした、といったところだろうか……と手前味噌ながらフォローしておきたい。
2017年に自身初の60試合登板を果たし、中継ぎとしてフル回転した森唯斗(ソフトバンク)。身長176センチとプロ野球選手にしては決して大きくないが、投げっぷりのよさ、度胸のよさは見るものを熱くさせる。
その森は高校球界で無名の海部高から三菱自動車倉敷オーシャンズを経て、2013年のドラフト2位でソフトバンクへ入団。1年目から2017年まで、4年連続50試合以上に登板する奮闘を見せている。
本誌『野球太郎 2013ドラフト総決算&2014大展望号』では、森をどう評価していたか。巻頭特集の「プロ野球12球団ドラフト採点」を見ると「中継ぎで即戦力の可能性」と森にフォーカスした見出しが打たれ「マウンドでのエネルギッシュな姿が魅力。(中略)1イニングであれば即戦力で働けるかもしれない」と、アマでの実績に乏しい現状を踏まえながらも、それを覆す可能性を指摘している。
また先に取り上げた二木同様に「会心の指名選手!」でも取り上げられ、「無名でもいい素材を集めてきたスカウトの方たちの自信が感じられた」とスカウトの自信と目利きに関しても言及。まさにその通りの活躍を見せたといえるだろう。
「近未来チーム編成シミュレーション」の2018年には、中継としてしっかりと「森唯斗」と名前が記されていることも付け加えておきたい。
2014年ドラフト入団組は昨季が3年目のシーズンだった。そのなかで、もっともブレイクしたのは薮田和樹(亜細亜大→広島2位)だろう。2016年までの2年間で大きな実績を残せず、2017年も開幕は中継ぎスタートだった。
しかし、シーズン序盤から先発に転向するとローテーションの柱としてフル回転。シーズンを通して15勝(3敗)をマークし、チームの二連覇に貢献した。薮田といえば亜細亜大時代にはほとんど実戦経験がなく、ドラフト時には「隠し球選手」と驚かせたことでも有名だ。その薮田を『野球太郎』ではどのように評価していたのか探ってみる。
『野球太郎 2014ドラフト総決算&2015大展望号』の巻頭カラー特集『ドラフト指名選手名鑑82名』では「2位にふさわしい潜在能力」の見出しがつけられ、「ストレートの威力だけなら有原航平(日本ハム1位)にも引けを取らない」と、2014年のドラフトで4球団が強豪した早稲田大(当時)の有原を引き合いに高評価。
また、特集「プロ野球12球団ドラフト採点」ページでは二木、森と同じように「会心の指名!」で取り上げられており、ここでも「有原航平(早稲田大→日本ハム)とそう変わらないボールを投げられる」と有原と同等の評価を与えている。そして文末は「薮田を指名してよかったと思われるような飛躍を期待したい」と締めくくられている。
今季の薮田はこのエール通りの活躍を見せた。1年だけの覚醒ではなく、来期以降も末永い活躍を期待したい。
2013年のドラフト指名選手から二木と森、2014年のドラフト指名選手から薮田をピックアップし、当時の記事を読み返してみた。すると、3人ともドラフト1位の即戦力や超大物ドラフト候補ではないにもかかわらず、いずれも「会心の指名!」に挙げられていた。この「予言」はずばり的中。その見立てのよさはどこまで続くのだろうか。次回はほかの選手を取り上げながら検証してみたい。
文=勝田聡(かつた・さとし)