優勝争い真っ只中のセ・リーグで、誤審が発覚した。
9月12日の阪神対広島20回戦。2−2の同点で迎えた延長12回表、田中広輔の放った打球は、甲子園球場のセンターへ。フェンスオーバーして、観客の侵入を防ぐための柵に当たった後、打球はグラウンドに跳ね返ったようにみえた。
しかし、ビデオ判定の結果はインプレーとみなし、田中の打球は三塁打と判定されて試合再開。結果、2−2のまま引き分けに終わった。
過去にはこんな誤審もあった。1954年6月16日、中日球場で行われた近鉄対東映戦。7回無死一、二塁のチャンスを得た近鉄の攻撃中、インフィールドフライの判定を巡って両チームが抗議。1時間以上にも渡る中断を経て、試合は再開され、結果は東映の勝利に終わった。
しかし、判定を不服とする近鉄が連盟に提訴を行い、なんと8月10日に問題となった場面から、試合をやり直すことになった。審判の判定は絶対とされる、現在では考えられない事態に発展したこの試合。結果は近鉄の執念も実らず、東映が再び勝利したのだった。ちなみにこの試合は、プロ野球史上唯一の「提訴再試合」として記録に残っている。
審判のジャッジは、大きく試合を左右する。1990年4月7日の巨人対ヤクルトの開幕戦では、ポール際の本塁打判定がミスジャッジだと大騒ぎに。その判定をした大里審判は心労で休養してしまった。
さらに大里審判は、復帰後の5月6日、大洋対阪神戦で球審を勤め、本塁上のクロスプレーで退場処分を巡り、再びトラブルが発生。度重なる失態にセ・リーグは「緊急審判会議」を開き、大里審判を二軍に降格する処分を決めたのだった。
今回の一件は、当事者の田中が「(判定は)人間のやることなので」と理解を示すコメントを残した。このスポーツマンらしい、潔い発言に救われた審判団。今後の再発防止に努めて欲しいものだ。
文=野球太郎編集部