プロ野球ファンが交流し、憧れの名選手と実際に会って、呑んで、熱い野球談義を交わすことのできる場。それが「乾杯!ほろ酔いプロ野球部」だ。今年からは現役時代、「ロッテの頭脳」として扇の要を担った里崎智也氏が部長を務め、より深いファンとの交流イベントを展開している。
その目玉企画ともいえるのが4月から始まった「里崎智也のプロ野球語り呑み」。4月21日、記念すべき1回目の“語り呑み”が行われた。その中で、「僕は、打順は決まっていた方がいいと思います」と打順固定論を推したのが、ゲストの仁志敏久氏(元巨人ほか)だった。
「選手にはそれぞれ、試合に臨む上でのイメージ作り、ルーティンがあります。でも、極端にいえば1番と9番では打席に立つまでの時間が全く違います。1番と2番でも、似ているようで全然違います。打順が変わるとルーティンに影響が出るので、結構大変です」
仁志氏の考えは打順に留まらず、“野球そのものの見方”にまで発展した。
「打順だけじゃなく守備位置もそう。セカンドとショートも似ているようで全然違います。でも、野球人のほとんどが、自分のやってきたポジションや打順からしか野球を見ていません。4番をずっと打っていた人は、1番や2番の気持ちがわからないし、セカンドだけを守っていた人はショート、サードとの違いがわからない。打順をクルクル変えてしまうと、試合に入りにくい人は少なからずいると思いますよ」
この仁志氏のコメントを受け、「でも僕、打順をクルクルと変えられたんですけど!」と返して会場を盛り上げたのが里崎部長だった。
「ボビー(バレンタイン監督)のときは、それが当たり前すぎましたから。今日は5番だったのに、明日は1番とか。そんなのばっかりでしたよ」
特に大変だったのは「ビジター球場での2番」だったと振り返る里崎氏。ブルペンでの投球練習を早々に切り上げなければ打席に間に合わなかったからだ。だが、「里崎2番」の裏には、こんな狙いがあったという。
「当時は1番が西岡(剛、現阪神)。西岡が塁に出ると、走られるのを警戒して、2番打者の初球は必ずといっていいほどアウトコースまっすぐ! だから、そればっかり狙ってライト方向に打っていました。ボビーからも『サト、お前は右打ちが上手いから、西岡が塁に出たら思いっきり踏み込んで打て。西岡の足なら三塁まで来られる。そうなれば、3番4番で勝負できるから』 と言われていましたね」
2番でも積極的に踏み込んで打つことでホームランも重ねた里崎氏。バレンタイン監督の猫の目打順もあって、「1番以外の全ての打順でホームランを打った男」となった。だからこそ、引退試合での「1番・里崎」につながったのだ。
「引退試合は伊東監督の計らいで1番に起用されたんですけど……2三振ですよ(笑)。だって、フォークばっかり! でも、オリックスも優勝がかかってましたからね。それはいいんです。ただ、半年近く試合から遠ざかっていたので、フォークはやっぱり打てないですよ(笑)」
「打順」ひとつの話題だけで、これだけ広く、深く話を掘り下げることができる里崎部長と仁志敏久氏。この日のイベントでは「各チームの開幕ダッシュは成功か? 失敗か?」「12球団の開幕1カ月通信簿&チーム内MVP」「プロ野球選手のインフルエンザ予防接種事情」などなど、硬軟織り交ぜたトークテーマで終始盛り上がりを見せた。
そして早くも5月26日(木)には「里崎智也のプロ野球語り呑み」Vol.2の開催が決定。前回同様、仁志敏久氏がゲストとして登壇。さらには、横浜のエースとして活躍した野村弘樹氏も参戦する。
「開幕ダッシュに失敗した野村&仁志の古巣DeNAの奮起は?」「侍ジャパンコーチ仁志敏久に聞く! 本当の侍ジャパンとは?」などなど、里崎智也、仁志敏久、野村弘樹の3人による、ここでしか聞けないネタが目白押しの2時間になるのは間違いない。
イベント情報について、詳しくはオンラインコミュニティ「乾杯!ほろ酔いプロ野球部」のホームページ(https://bukatsu.hikaritv.net/campaign/0015/)でも紹介されている。野球ファンであれば、是非ともオススメしたいイベントだ。
文=オグマナオト(おぐま・なおと)