夏の高校野球も目前。各校ファンにとっては期待と不安が入り混じる季節だが、不安の方が大きいであろうチームもある。
2019年、特に心配されている“名門”は大阪桐蔭と横浜だ。
2018年の春夏連覇から一転、勢いを落としているのは大阪桐蔭だ。センバツを逃したどころか、春の大阪府大会では5回戦で近大付に1対6で敗北。6月に入っても岡山での招待試合で玉野光南に0対10の完敗を喫するなど、心配な情報も多い。
もちろん、夏の甲子園出場の可能性はある。滑り込みで投手陣の本格化があれば、チームも化けるだろう。
現在、投手陣は右の中田惟斗(3年)、新井雅之(3年)、左の藤江星河(2年)の3枚が軸。ともに140キロ前後の球速を誇る。ただ、超高校級と呼ばれるまでには抜け出してはいない。「誰か一人抜け出せば……」というのは、高校野球の「6月あるある」だが、そこは大阪桐蔭。ポテンシャルに期待したくなる。
打線の中軸は、2年生になりそうだ。昨秋の時点で西野力也、船曳烈士の2年生コンビが3、4番を務めていたが、春季大会では加藤巧也(2年)が3番に入り、出番を増やしている。
西野は強烈なパワーヒッターで、船曳は小柄ながら飛ばせるスラッガー。加藤は身体能力抜群の遊撃手だが、外野もこなせる。元U-15侍ジャパンのエース・仲三河優太(2年)も野手で本格デビューを果たし、ほかにもスタメン獲りに挑むレベルの2年生は多い。
経験の面で2年生が多いチームはやはり波も大きいが、伸びしろもあり、たとえば今夏に経験を積めば、新チームとなる秋にはとんでもない打線になっている可能性が高いだろう。
激戦区・神奈川では横浜の出来も心配されている。今春のセンバツは最速153キロのエース左腕・及川雅貴の存在が大きかったのか、滑り込みで出場を果たしたが、初戦で明豊を相手に3回途中5失点KO。146キロの球速を聖地の電光掲示板に刻んだが、5四死球の乱調で評価を落とした。
ただし、これは調整が間に合わなかった面もある。センバツ前はやや寒さが残り、完全な状態で臨める投手が少なかった。
及川もその類で春季大会では調子を戻してきた。これまでは「最速」に引っ張られている面もあったが、チェンジアップや遅いスライダー、カーブなどの球種も投入し、勝つ投球に変化している。最速は140キロ台中盤に留まるが、そもそも剛速球投手というよりは快速投手。春とは違った投球を見せている。
また、2番手にも逸材が控えている。2年生左腕の松本隆之介だ。最速147キロ。秋の時点では「手投げ」の印象もあったが、一冬越えて下半身が充実してきた。
188センチの長身でありながら、足を高く上げ、体をうまく操作できている。人によっては及川より好きという声も聞こえてくる。2枚看板の継投が勝負を分けると見た。
文=落合初春(おちあい・もとはる)