セ・リーグのジミヘン筆頭格は今季2年目となるキューバ出身の左腕・バルデス(中日)だ。昨年は主に先発で22試合に登板して、5勝8敗、防御率3.18。開幕からローテーションの一角を任され、最初の5試合はすべて6イニング以上投げて2失点以下と好投を重ねた。
にもかかわらず、5試合の成績は0勝1敗。とにかく孤立無援だったのだ。初勝利は10試合目。最終的には上記の成績に落ち着いたものの、心中は「Why Japanese People?」状態だったかもしれない。
今季は左肩痛もあって開幕には間に合わなかったが、5月8日に1軍登録されると、6月9日までで6試合に登板し2勝1敗。5月20日の巨人戦では、9回まで無失点に抑えながら援護がなかったりもしたが、勝ち星が先行しているだけ昨年よりはまだマシかもしれない。
そんなバルデスの地味な変則投法の特長は、立ったまま投げること。普通、どんなピッチャーでも、リリースに合わせて上体がキャッチャー側に倒れ込んでいくものだが、バルデスはスリークオーター気味の立ち投げのような感じで、体がまったく前に倒れ込まないのだ。しかも、ゆったりしている。ものすごく極端に言うと『ドカベン』土佐丸高校の犬飼小次郎のキャッチボール投法に近い(小次郎のようにスローボールを投げるわけではないが…)。
球種はストレートに、スライダーとチェンジアップ。これをテンポよく織り交ぜて投げ込んでくる。そして、コントロールも悪くない。緩急を上手く使いながら、(おそらく)150キロにも見える130キロそこそこのストレートで三振を取るシーンは痛快だ。
ちなみにバルデスは、中日のチームメイトでは荒木雅博と同じ38歳。投手陣では岩瀬仁紀に次ぐベテランだ。それでも本人は「中4日でもいける」と豪語しているというから、頼もしいことこの上ない。
今季はビシエドが加入し、得点力がアップしている中日打線。ジミヘンで頑張っているバルデスの援護をぜひともお願いしたいものだ。
文=藤山剣(ふじやま・けん)