昨年も、この「週刊野球ライター大推薦! 俺たちのドラフト会心の指名」で筆を執らせていただいた。西武ファンということもあり、昨年は単独ドラフト1位で獲得した今井達也を会心指名としてイチ押しした。
そして今年、この原稿を依頼されたときは「待ってました!」という気持ちでいたのだが、それはもちろん西武がドラフト2位である選手を獲得していたからだ。
そう地元・埼玉、花咲徳栄の有望外野手・西川愛也である。
森友哉や今井の単独指名しかり、浅村栄斗、秋山翔吾、源田壮亮らドラフト3位野手の大活躍しかり、西武のドラフト戦略には毎年唸らされることが多い。しかし敢えて言うと、埼玉出身や埼玉の高校の選手を積極的に獲得しないことが気になっていた。
特に近年では、高校こそ仙台育英だったが、埼玉県さいたま市出身で浦和シニアOBの上林誠知をソフトバンクが獲得し、ブレイク。忸怩たる思いが膨らんでいた。
そんななかでの地元有望株・西川の指名ということで、嬉しさひとしお。西川の名が読み上げられた時、ドラフト中継が映るテレビの前で筆者は思わず拍手。しばらくは2軍で腕を磨く日々だろうが、今から期待せずにはいられない。
2位という西川の指名順位は驚きだった。西武といえば1、2位は投手の枠というイメージが強く、2013年の森友哉や山川穂高のときように、「よほどの選手」でない限り、野手は3位からが相場となっているからだ。
簡単にいえば西川の評価が「よほどの選手」なのだろうが、西武がそこまでして獲得した野手という意味でも夢は膨らむ。
また直近5年の西武のドラフトを振り返っても、1、2位で獲得した野手は森と山川だけだが、いずれもしっかりブレイク。ちなみにその下の3位組も前述の浅村、秋山、源田意外にも金子侑司、外崎修汰がレギュラーに定着した。
上位で獲得した好素材の野手がきっちりと活躍しているという点は、西川にとっても入団するうえで心強いだろう。
西川は甲子園に3度出場し、通算打率.415。そして今夏、埼玉初の甲子園優勝をもたらすなど実績・実力に関しては申し分ない。故に、指名を手放しで喜べるのだが、唯一気がかりな点は大胸筋断裂の回復具合。
もちろん、故障があることがわかった上での2位指名なので、いちファンがそこまで心配する必要はないのかもしれない。ただ、紛れもない金の卵なので、確実に孵化することを願いたいのだ。
とはいえ、幸いなことに、今の西武は外野手のレギュラーが固定化されている。また、過去に故障を抱えて入団した選手が数年後に活躍するケースもあるので、あせらずに体づくりに励んでほしい。
「西武に入団してくれてよかった」と思わせてくれる日を楽しみに待つとしよう。
地元選手の獲得という点では、西川のチームメイト、花咲徳栄のエース・清水達也(中日4位)も気になっていた。あわよくば両取り……などとも思っていたのだが、西川を指名できただけでもよしとしたい。
ちなみに指名後の会見で、今季の西武の象徴である炎獅子ユニフォームを着てガッツポーズをした西川。筆者的には通常のユニフォームも似合うと思うのだが、ひいき目がそうさせるのだろうか。
そして、その背には何番を背負うことになるのか。そちらも楽しみである。
文=森田真悟(もりた・しんご)