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サヨナラ劇に逮捕劇も!? 古今東西、野球界で鳥が巻き起こした珍騒動を振り返る

サヨナラ劇に逮捕劇も!? 古今東西、野球界で鳥が巻き起こした珍騒動を振り返る

 烏合の衆か!? 幸運の鳥か!? 8月30日の楽天対西武戦、Koboパーク宮城を思わぬ来客が襲い、試合が一時中断されるハプニングが起きた。

 8回裏開始前、降雨のため試合が一時中断。それと同時に、鳥の一団がグラウンドに乱入したのだ。スタッフが笛の音で追いかけ、花火を2発上げたものの効果なく、最終的には照明を落とすことでなんとか鳥の群れを追い払うことに成功。すると試合再開直後、楽天は4点差を追いつき、そのまま引き分け。中断のおかげで流れが変わったのだとすれば、楽天にとっては“幸運の鳥”といえるだろう。

 日本球界での「鳥による試合中止」は、パ・リーグでは1976年6月4日の南海対太平洋(大阪)、セ・リーグでは1958年9月13日の巨人対大洋(後楽園)、1971年4月29日の広島対中日(広島)が「渡り鳥の襲来で中止」という記録になっているという。

 一方、海の向こう、メジャーリーグでは、過去、さまざまな鳥を巡るハプニングが起きていた。3つの事例を紹介したい。

ビッグ・ユニットが起こした“鳩直撃”事件


 突然ですが問題。投手の投げたボールが飛んできた鳥に当たった場合、そのボールはストライク? それともボール? 正解は……ノーカウントで投げ直しとなる。

 この珍しい現象は2001年のオープン戦での出来事。マウンドに立っていたのは、2メートル8センチの長身から投げ下ろす最速102マイル(約164キロ)の速球を武器に、通算303勝をあげた偉大な左腕、ランディ・ジョンソン(当時ダイヤモンドバックス)だ。

 この試合、“ビッグ・ユニット”の愛称で人気を呼んだ速球王の投げた球は低空飛行をしてきた鳩に直撃! さすがというか、やはりというべきか、鳩は即死してしまった。投球自体はノーカウントになったが、鳩を死なせてしまったショックからか、その日のジョンソンは相手打線に打ち込まれてしまった。

キャッチボールで起きた“カモメ逮捕”


 鳥と投手にまつわる不運な事件は他にもある。有名なエピソードは、1983年8月4日、カナダのオンタリオ州トロントにある世界初の開閉式ドーム球場、スカイドーム(現ロジャーズ・センター)で起きた逮捕劇だ。

 スカイドームは北米湖のひとつ、オンタリオ湖に面しているため、カモメがよく飛んでくる球場だ。そのカモメが悲劇の的になった。ヤンキースのデーヴ・ウインフィールドがイニング中にキャッチボールをしていたところ、ボールがカモメに直撃。当たりどころが悪かったのか、カモメは死んでしまった。

 そしてこの日の試合後、ウインフィールドはトロント警察に逮捕され、動物虐待という理由で罰金500カナダドルの支払いも命じられた。翌日、カモメを殺したのは意図的ではなかったことが認められて無罪になったが、キャッチボールをしていてこんな散々な目にあうとは予想もしていなかっただろう。

 死んだカモメも不幸だが、ウインフィールドにとっても不幸としかいえない出来事だった。


まさかの“サヨナラ・カモメ”


 今回のKoboパーク宮城の試合は、鳥による中断で流れが変わったことで、「楽天の幸運の鳥」といわれた。だが、運を呼ぶどころか、実際に鳥のおかげ(せい?)で勝敗が決まった試合もある。2009年6月9日、プログレッシブ・フィールド行われたインディアンズ対ロイヤルズの一戦だ。

 試合は延長戦に突入し、10回裏、無死一、二塁のチャンスで、インディアンズの秋信守が放った打球はセンターへ。鋭い打球だったため、そのまま捕ってバックホームすれば、本塁でクロスプレーになるはずだった。

 ところが、センター前には100羽近くのカモメが羽を休めていたことでアクシデントが起きた。飛んできた打球に驚いたカモメが一斉に飛び立ったため、センターがボールを見失ってしまったのだ。この一打でインディアンズはサヨナラ勝ち。ロイヤルズにとっては不幸のカモメになってしまった。


 こうしたエピソードは、野外でプレーするからこそ起きるもの。ドーム球場での快適な観戦も捨てがたいが、やはりたまには太陽や夜空のもと、自然とともに野球を楽しむのも一興だ。


(オグマナオト)

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