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【プロ野球】黄金期のヤクルト、女子人気もダントツだった!

 カープ女子に続けとばかり、どの球団も女性ファン獲得に熱心な中、出遅れ気味なのがヤクルト。しかし、今で言う「○○女子」が「○○ギャル」と呼ばれていた90年代前半、ヤクルトはダントツのギャル人気を誇っていた。

 「強い・若い・面白い」の3拍子プラス独身(重要)。黄色い声の対象として、ヤクルトはパーフェクトな存在だった。


関根監督のもと生まれ、野村監督のもとでパワーアップした女子好みのスターたち


 ヤクルトの人気面の地ならしは、関根潤三監督時代に始まっていた。

 バブル真っ只中の80年代末は、新人類やトレンディーといった浮かれた言葉が、プロ野球界にも流れ込んできた時代。女性人気は、西武を中心にパ・リーグがリードしていたものの、ヤクルトは弱いながらも関根監督のもと、彼女たち好みのスターが育っていた。

 その先頭にいたのが池山隆寛だ。ホームランか三振の豪快さに惹かれた女子は、池山が少年隊のヒガシにそっくりだと信じて疑わなかった。その脇を広沢克己とギャオス内藤が笑いとパフォーマンスで固め、楽しければOKという世相にもぴったりだった。さらに優等生枠には、国立大卒で教員免許持ちの栗山英樹(現日本ハム監督)が収まり、インテリの響きに心を奪われるティーンも多かった。

 そして迎えた1990年。野村克也監督就任1年目には、新人の古田敦也が正捕手に定着。同じルーキーでドラフト1位の西村龍次が2ケタ勝利。高卒2年目の川崎も12勝を挙げ、シーズンは5位に甘んじたものの、見違えるほどの戦力アップに黄金時代到来を予感させた。

 翌91年もドラフトが当たり、1位入団の岡林洋一がリリーフ中心にフル回転の12勝12セーブ。女子高生の間で、帰国子女がオシャレリーダーとしてもてはやされ始めた頃とあって、南米パラグアイ生まれでスペイン語ペラペラというのはポイントが高かった。

 シーズンオフには、笘篠賢治がタレント松本典子との結婚を発表。当時、松本典子の大ファンとして有名だったのが西武の潮崎哲也。カワイイを武器に、最後までヤクルトに立ちはだかっていた潮崎に“とまぴょん”大勝利で、女子人気の覇権交代を印象づけた。

次々と生まれるヒーローがギャル心をガッツリつかみ、黄金時代へ


 大混戦を制した1992年は、首位打者・ホームラン王の二冠を獲得したジャック・ハウエルがMVP、飯田哲也が盗塁王に。常勝軍団西武に挑んだ日本シリーズでは、杉浦享の代打満塁弾などサヨナラ勝ち2回のドラマあふれる大健闘で、ヤクルトにのめり込む女子をさらに増やした。

 この年は、荒木が1541日ぶりにカムバック。すでに28歳と、ギャル世代の視界からははみ出しかけていたが、血統書つきアイドルとでもいうべき荒木の存在はとても誇らしかった。一方で、長嶋一茂(独身)の巨人トレードには慌てず騒がず。女の子の好みは露骨でもあった。

 1993年は、2位に7差をつけてセ連覇。ドラ1伊藤智仁の伝説級の活躍に、守護神・高津臣吾が誕生。実力と個性を兼ねた若手が次々と現れ、飽きっぽい女子の心もガッチリつかむと、日本シリーズでは西武に雪辱して15年ぶりの日本一に輝いた。

 現在、その価値があらためて見直されつつある「野球女子」。遡ること約20年前、そんな女子ファンを着実に巻き込みながら、実力で黄金時代を築いたのがヤクルトだった。


文=小林幸帆(こばやし・さほ)
野球狂の母親に連れられ、池田がPLに負けた一戦を甲子園で見た小2の夏休みから高校野球ファンに。ヤクルト大好きの女子高時代は、放課後を神宮球場で過ごす。

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