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渡部流、高校野球観戦術【野球芸人 アンジャッシュ・渡部建 第一回】

 『高校野球大特集』という特集中において、「野球芸人」に登場していただいたのは高校野球好きとして有名であり、球場にも足繁く通うアンジャッシュ・渡部建さんです! これまではトータルテンボス・藤田憲右さん、ナイツ・塙宣之さんと登場していただき第3弾を迎えます。

 無類の高校野球好きの渡部さん。球場に通うだけじゃなく、最近は中学野球の大会にも観戦したり、プロダクション人力舎presents「高校野球大好きナイト」を開催したりと、さらに野球熱は加速していきます。

 そんな渡部さんに全5週に渡って、ここまで引きこまれた高校野球の魅力について語っていただきました。記念すべき第1回です。


やっぱり注目は桐光の松井君


 皆さんこんにちは。アンジャッシュの渡部建です。

高校野球観戦の趣味が高じて、今では『報知高校野球』の中で、「アンジャッシュ渡部建の感動ごちそうさま」という連載を持たせてもらっています。

 いよいよ、甲子園を目指した夏の全国高校野球地区予選が東京都、そして神奈川県でも始まりましたね。

 なんと言っても、今年は神奈川! 横浜高校の入ったブロックにちょっと固まっちゃった感はありますが、それ以外でも強豪校ぞろいで、もうたまらないですね。今年はいいピッチャーもたくさんいるし、楽しみで仕方がありません。

 中でも注目は、やっぱり桐光学園の松井裕樹君です。実は僕、昨夏の神奈川県大会準々決勝・桐光学園vs横浜戦を生で観ているんですよ! あの試合で松井君は11奪三振、さらに桐光が夏の大会で横浜に勝ったのが28年ぶり。今にして思えば、あれが伝説の始まりだったかもしれないですよね。

 そして、何度も対戦した上で対策を練っていた横浜ですら攻略できなかったんですから、そりゃ、(甲子園で)初めて対戦した今治西が22三振をしてしまったのもしょうがないかなと思います。

5時間&4万円かけて横浜スタジアムへ


 本当は、桐光学園vs横浜があったその日、僕は岩手県大会の決勝戦(花巻東vs盛岡大付)、そして大谷翔平投手(現・日本ハム)を観る予定で、始発の新幹線で岩手に向かっていたんです。ところが、仙台で乗り換えようとしたらTwitterやメールでいろんな野球仲間から、「雨天中止」「延期」「中止になりました」……と次々に連絡が。

 それで、どうしようかなぁと思って調べてみたら、「仙台で降りてすぐに引き返せば横浜スタジアムの試合に間に合うかも…」ということがわかったので、上りの新幹線に飛び乗って、急いで引き返したんです。で、結果、第一試合にも間に合ってしまったという。家から20分の距離にある横浜スタジアムに、5時間&4万円かけた(笑)。これもまあ、いいエピソードですよね。

 そもそも一般の人にしてみたら、地方までわざわざ自腹で高校野球を観に行く、っていうだけでも、ちょっとクレイジーじゃないですか。でも僕の場合、そのひとつひとつが話のネタになるんだから、ありがたいことです。

すごく優秀なガイドがいる旅


 最近では、Twitterでつながった観戦仲間と飲みに行くこともありますし、それこそ、日本全国どこの球場に行っても誰か“仲間”に会える、という状況になりましたね。

 球場で昔から観戦しているファンの方はもちろんですが、それこそ『野球太郎』さんでも、四国だったらこの人、九州だったらこの人、という感じで各エリアに特化したライターさんがいらっしゃいますよね。さらに言えば、中学軟式野球だったらこのライターさん、中学硬式だったらこの人、という感じでぞれぞれのジャンルで詳しい方がいらっしゃいます。その皆さんがすごく親しくしてくださいますし、好意的に情報を教えていただけるので、おかげ様で見どころは満載。どこに行っても、すごく優秀なガイドさんがいる旅みたいな感じです(笑)。

後援会&父兄との交流


 それと、ライターさんのような専門家以外でも、最近では後援会の方とかが「〇〇高校の父兄会の者ですけど……」と話しかけてくださるようになりました。そこから、「あ、そうなんですか?」みたいな感じで挨拶トークが始まって、「今年はどうなんですか?」「今年はですねぇ……」というやり取りが各球場で自然と生まれるんですよ。

 そのやり取りがあれば、もうそのチームにも愛着が湧くし、見どころもできるじゃないですか。初めて行った球場でも、選手表だけじゃわからないようなサイドストーリーを球場にいる皆さんが教えてくれるので、楽しみ方としてはすごく贅沢! そういう触れ合いも高校野球観戦の醍醐味のひとつですね。

渡部建(わたべ・けん)
1972年生まれ、東京都八王子市出身。漫才コンビ「アンジャッシュ」(プロダクション人力舎)の主にツッコミ担当。数多くの賞を獲得し、テレビ、ラジオなど幅広く活躍している。特に『爆笑オンエアバトル』(NHK)では第1回から出場し、2003年第5回チャンピオン大会で優勝。スレ違いコント、勘違いコントは人気があり、アンジャッシュの代名詞とも言われている。近年では単独での活動も増え、趣味でもある食べ歩き(自身のブログでもまとめている)を生かしているテレビ『ハシゴマン』や、高校野球、恋愛心理学の雑誌連載も好評を得ている。

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