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調整だけにあらず? プロ野球オープン戦順位と、シーズン順位の奇妙な関係を徹底調査!


 2月20日、ついにオープン戦が開幕。いよいよ2016年シーズンが始まりを迎えた。オープン戦といえば、あくまで開幕までの調整の試合という位置付けになり、真剣勝負とは言い難い。それ故に、オープン戦における勝敗、順位はシーズンにはなんら関係ない、と思われている読者諸兄も大勢いるのではないだろうか?

 しかし、一部のマニアなファンのあいだでは、オープン戦の順位はリーグ戦に大きな影響を及ばしている、とまことしやかに囁かれているのだ。

 本当にオープン戦とリーグ戦順位には関係性があるのか? 過去のオープン戦、シーズンの順位を元に検証してみたい。

オープン戦のチャンピオンは日本シリーズ覇者?


 まずは、過去10年のリーグ優勝チームと、そのオープン戦の順位を見ていただきたい。()内がオープン戦順位。

セ・リーグ
2006年 中日(2位)
2007年 巨人(4位)
2008年 巨人(12位)
2009年 巨人(8位)
2010年 中日(8位)
2011年 中日(5位)
2012年 巨人(6位)
2013年 巨人(1位)
2014年 巨人(3位)
2015年 ヤクルト(8位)

パ・リーグ
2006年 日本ハム(4位)
2007年 日本ハム(7位)
2008年 西武(1位)
2009年 日本ハム(6位)
2010年 ソフトバンク(2位)
2011年 ソフトバンク(2位)
2012年 日本ハム(2位)
2013年 楽天(4位)
2014年 ソフトバンク(1位)
2015年 ソフトバンク(1位)

 過去10年でオープン戦優勝チームがリーグ優勝した回数は4回。半数を割る結果を見る限り、必ずしもオープン戦の勝者がリーグ戦の覇者となるとは言い難い。

 しかし、オープン戦でAクラス入りしたチームの優勝となると、20チーム中15チームとなり、やはりオープン戦でもある程度の結果を残すチームがリーグ優勝へ近づくというのは間違いないようにも思える。


オープン戦最下位は上位になれない


 オープン戦での結果がリーグ優勝に直結する。優勝チームのデータを見る限り、その裏付けとしては非常に弱い。では、逆を見るとどうか?実はこれが見事に当てはまるのだ。

 オープン戦最下位チームは、過去10年どころか、21世紀に入ってからリーグ戦Aクラス入りはわずかに2回。最下位回数に限っては15年間で8回と、半数以上がリーグ戦での苦戦を強いられているのだ。

 2001年以降のオープン戦最下位チームとその年のリーグ順位は以下の通りだ。()内がリーグ戦順位

2001年 近鉄(1位)
2002年 オリックス(6位)
2003年 オリックス(6位)
2004年 横浜(6位)
2005年 広島(6位)
2006年 オリックス(5位)
2007年 オリックス(6位)
2008年 巨人(1位)
2009年 阪神(4位)
2010年 横浜(6位)
2011年 横浜(6位)
2012年 阪神(5位)
2013年 中日(4位)
2014年 ヤクルト(6位)
2015年 広島(4位)

 広島2回、横浜3回、オリックス4回と、21世紀に入り1度も優勝を成し遂げていない3チームが最下位の常連という点が、オープン戦最下位はBクラスというジンクスをより一層引き立てているのは気のせいだろうか。いずれにせよ、オープン戦最下位チームは苦戦する可能性は高そうだ。


オープン戦最下位からの優勝はいずれも球史に残る、ミラクル優勝


「オープン戦最下位=Bクラス」。このジンクスはデータから見ると確立が高い。しかし、過去16年間でオープン戦最下位からリーグ優勝したチームが2つある。2001年の近鉄と2008年の巨人だ。

 2008年の巨人は最大13ゲーム差をまくっての大逆転優勝。通称「メークレジェンド」の年。2001年の近鉄は代打逆転サヨナラ満塁優勝決定本塁打と、共にミラクルを成し遂げての優勝だ。Bクラスジンクスを打破するには、劇的な優勝というドラマを生まなければなし得ないのだろうか? 周期から考えると、今年あたりジンクスを吹き飛ばすようなミラクル優勝が起こる可能性もある。

 ちなみに、オープン戦最下位に次いでリーグ最下位を輩出しているのは、なんとオープン戦3位のチーム。ここ10年で4回も最下位チームを生むなど不吉な順位として、コアなファンの間では定着している。

 いずれにせよ、これらのデータを見る限り、オープン戦といえど試合に勝てないチームはリーグ戦でも苦戦すると見て間違いなさそうだ。まだ始まったばかりのオープン戦。内容も注目だが、試合結果と順位にも目を向けてみると、もっと楽しいかもしれない。

文=井上智博(いのうえ・ともひろ)

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