――今、球界でもっとも発言力がある人物といえば?
イチロー(マーリンズ)、ダルビッシュ有(レンジャーズ)といった名前を押しのけ、「喝!」「あっぱれ!」でおなじみの張本勲氏(元東映ほか)の名前を思い浮かべる人は多いはずだ。テレビ番組におけるコメントは良くも悪くもニュースになることが多い。
先日も、サッカー界のレジェンド、カズこと三浦知良選手(横浜FC)に引退勧告をしたことで多方面からバッシングを浴びた。
また、アメリカやメジャーリーグと聞いただけで批判的な態度になる張本氏に対して、ダルビッシュも疑問を感じていることを以前、自身のTwitterでつぶやいたことがある。
サッカーファンはもちろんのこと、若い野球ファンには「なんで、このオッサンはこんなに偉そうなんだ!?」と不思議に思う人もいるだろう。
張本勲氏は、現役時代、東映や巨人などで活躍した日本球界屈指のレジェンドだ。NPB歴代1位の3085安打をはじめ、504本塁打(歴代7位)、1676打点(歴代4位)を残し、タイトルでは7度の首位打者を獲得するなど、日本プロ野球史に数々の偉業を残してきた。
一方で、引退後はコーチや監督経験はほぼなく、「いつも辛辣なことばかり言ってるけど、教え方は上手いのか?」と指導力を疑問視する人もいるだろう。
そこで、『野球太郎』編集部がこの春に発売した『野球太郎No.014 特集・オレに訊くな!』では張本氏に対して、ある質問を投げかけてみた。
「セーフティーバントの決め方を教えて下さい」
500本を超える本塁打を放ち、3085本もの安打数を重ねる、長打力も備えた“安打製造機”に対して、あえて「セーフティーバント」だけを訊く……「大喝だっ!」と怒られるかと思いきや、「あっぱれ! セーフティーバントに目を付けている雑誌はないぞ」と饒舌に。
「少年野球からプロ野球まで、バントを教える人が少ない」
「(バントの)構え自体を知っている選手がほとんどいない。もう少しバントの重要性をわかってほしい」
と昨今のバント事情を嘆きつつも、身振り手振りも交えながらセーフティーバント論を語ってくれた。