四国アイランドリーグplus・徳島インディゴソックスからドラフト3位で西武に入団した伊藤翔。高校を卒業して独立リーグへと進んだため、高卒2年目の選手と同世代になる。春季キャンプでは、ルーキーながら実質的な1軍にあたるA班のメンバーに抜擢され、大きな期待をかけられている。
伊藤は気後れせずにシート打撃や対外試合で結果を残すと、オープン戦でも出番を与えられ、4試合で1失点。投球回数は計7回と少ないものの6三振を奪っており、奪三振能力も高い。シュリッターが抜けた勝利の方程式に加わる可能性もある。
大卒と独立リーグ出身という違いはあるものの、昨シーズンは黒木優太(立正大→オリックス)が開幕から1軍に加わり、勝利の方程式入りを果たしている。昨シーズンのオープン戦で、黒木は5試合で5回を投げ、防御率0.00、5奪三振。伊藤と同じような成績を残していた。また、シーズン途中には一時的ではあったものの、抑えも任された。黒木と同様に伊藤も辻発彦監督ら首脳陣の信頼を勝ち取りたいところだ。
伊藤が開幕1軍、勝利の方程式入りを果たせるか、今後の登板にも注目が集まる。過去の例を見ると、高校卒業後に大学、社会人へ進まずに独立リーグ経由でプロ入りした選手には角中勝也(ロッテ)らがいる。伊藤が実績を残せば、高卒で独立リーグ入りという道が広まるかもしれない。
西東京の名門・日大三高からドラフト5位でDeNA入りを果たした櫻井周斗。2年時に秋季東京都大会決勝で早稲田実(当時)の清宮幸太郎(日本ハム)から5打席連続三振を奪い、一躍名前が全国に知れ渡った。
その櫻井が好調だ。高卒ルーキーながらオープン戦で出番を与え続けられており、4試合連続無失点。3月11日の日本ハム戦ではライバル・清宮から三振を奪っている。その試合では三者連続で四球を出すなど制球面に課題はあるものの、中継ぎの一角として1軍入りも夢ではない。
開幕1軍入りを果たした高卒新人投手は、2013年の藤浪晋太郎(阪神)、大谷翔平(エンゼルス、当時日本ハム)以来、生まれていない。DeNAでは1989年の石井忠徳(現・琢朗=ヤクルトコーチ、当時大洋)が最後。櫻井の開幕1軍が実現すれば、29年ぶりの快挙となる。
また2010年以降、防御率0.00でオープン戦を終えた高卒新人投手は、2013年の大谷と濱田達郎(中日)の2人のみ。大谷は二刀流としてNPBで結果を出し、今シーズンからメジャーリーグへと戦いの場を移した。一方の濱田は故障に苦しみ育成契約となっている。
櫻井がチーム29年ぶりの「高卒投手開幕1軍」を果たした暁には、故障に気をつけながら才能を伸ばしてほしい。
(成績は3月17日現在、写真は徳島インディゴソックス時代の伊藤翔)
文=勝田聡(かつた・さとし)