大阪桐蔭(大阪)の優勝で幕を閉じたセンバツ。熱戦の余韻が残っているなか、球児たちの目はもう夏に向いている。今年の夏の甲子園は100回目の記念大会。我々ファンも球児たちを追って、記念すべき夏の夢舞台を満喫したい。
「週刊野球太郎」では、3回に渡って夏の甲子園を盛り上げる特集をお届け。まずはどこよりも早く夏の甲子園優勝校を占いたい。
夏の甲子園の優勝候補筆頭は大阪桐蔭で間違いないだろう。大本命として出場したセンバツで、プレッシャーをものともせずに優勝した力は本物だ。
延長戦にもつれ込んだ準決勝の三重(三重)戦以外は、危なげない内容で勝利。トーナメントが進むほどにスキのなさが浮き彫りになるようで、ナインからは風格めいたものが感じられた。
根尾昂や藤原恭大らドラフト上位候補がいかんなく実力を発揮し、チームとしても春の時点でこの完成度。もはや「敵はケガだけ」とすら思えてくる。地区大会から連戦が続く夏は、とくにコンディションがカギとなるが、準備さえしっかりしておけば、結果は自ずとついてくるだろう。
大阪桐蔭の対抗馬には東海大相模(神奈川)を推したい。センバツでは準決勝で智弁和歌山(和歌山)に10対12で敗れたが、それまでの3戦で大差での勝利から接戦まで様々な試合を経験できたことがプラスに働くと見る。
高校通算46本塁打を放っているドラフト候補の森下翔太は打率.267、本塁打ゼロと不発に終わったが、準決勝まで勝ち上がったチームの総合力は全国屈指だ。
また、昨秋に利き腕の右手を骨折した齋藤礼二が復活し、全試合に登板できたことも収穫。投打にタレントの揃った関東の名門がチーム一丸となって逆襲を狙う。
明秀学園日立(茨城)と彦根東(滋賀)は夏も期待したくなる戦いぶりを見せた。
明秀学園日立は春夏通じて甲子園初出場ながら、瀬戸内(広島)と高知(高知)を撃破し、大阪桐蔭に挑戦。1対5で破れたものの、最終回にエースで打線の主軸・細川拓哉が根尾から本塁打を放った後に2死満塁と本塁打で同点に追いつくチャンスを作り、最後まで食らいついた。
彦根東は初戦で慶應義塾(神奈川)に勝利。その余勢をかって東北の強豪・花巻東と対戦した。ここでエースの増居翔太が9回までノーヒットノーランに抑え込む快投を披露。延長の末に0対1で敗れたが、まさに「負けてなお強し」の印象を残した。
両チームはいずれも3回戦で姿を消したが、あらためて夏の躍進に期待したい。
新学期が始まったところではあるが、きっと気づけば夏の地区大会が幕を開け、甲子園が開幕している。3カ月などあっという間だ。
成長期真っただなかの高校生は、数カ月で見違えるように変わる。そういった成長を見られるのも高校野球の醍醐味だ。
今回記した筆者の下馬評の通りになるのか、それとも覆すチームが現れるのか。すべては夏までの残り時間が知っている。
文=森田真悟(もりた・しんご)