中島は今季、3度の登録抹消を経験している。1度目の抹消は右ふくらはぎ痛のためだったが、後の2度はいずれも打撃不振による調整のためだ。開幕から3度目の抹消となった6月26日までの成績を見てみよう。
132打数/31安打/打率.235/本塁打2/打点11
この数字ではやはり寂しい。中島の年俸に見合った成績とはいえない。
3度目の抹消後、中島はファームで約1カ月調整。自身の誕生日に間に合わせるかのように7月30日に1軍登録。即スタメンで出場。二塁打を含む2安打を放ち、調整の成果を見せる。
8月5日、京セラドームでのロッテ戦。2点差を追いかける展開での8回、無死一、二塁で中島に打順が回ってきた。中島の一発に期待というところだったが、代打に鈴木昂平が起用された。送りバント要員である。
得点のチャンスに、中島に対して代打を送るのはいかがなものだろう? 現地で観戦をしていたのだが、中島に代打を送れというヤジもあったし、中島に打たせろという意見もあった。わたしは、中島に代打を送るこの起用をとても寂しく思った。なんのために中島を1軍にあげたのだろう。
そんな寂しい思いを中島は吹き飛ばしてくれた。8月7日、ホームでのロッテ戦。初回に犠飛で打点をあげると、3回には右中間に3号2ランホームランを放つ。その後も2塁打、安打を記録し、3打数3安打3打点の大活躍。ヒーローインタビューでお立ち台に上がった。
「最近、点が入らず勝てなかったので、今日は、なんとしても点を取ろうということで試合を迎え、その日に打ててよかったです」
今回の1軍登録後の中島は、8月9日現在で以下の成績を残している
26打数/10安打/打率.380/本塁打1/打点6
なかなかの好調ぶりだ。
昨年オリックスに入団してから、まだ満足のいく結果を残せていない中島。今季は残り少ないが、ここから巻き返す力は十分にあると思っている。チャンスでしぶとい一打を見せて欲しい。
そしてチームの勝利に貢献し、満足のいく成績を残すことを期待する。
文=矢上豊(やがみ・ゆたか)
大阪在住の山本昌世代。初めてのプロ野球観戦は、今はなき大阪球場での南海対阪急戦と、生粋の関西パ・リーグ党。以来、阪急、オリックス一筋の熱狂的ファン。プロ野球のみならず、関西の大学、社会人などのアマチュア野球も年間を通じて観戦中。