巨人の根津朋将トレーナーが、路上で倒れていた人を救い、消防署から感謝状が送られることになった。根津トレーナーの「ファインプレー」は、6月3日、神奈川県川崎市高津区の路上でのこと。倒れていたのは70代の男性で、ほどなく心肺停止となったという。
そんな現場にたまたま通りかかった根津トレーナーは、状況を確認すると、他の通行人に119番を要請し、自身は現場近くにあったAEDを使って救命措置を行った。それがうまくいって、男性は一命をとりとめたのだ。同トレーナーには川崎市高津消防署から7月4日に感謝状が贈られるという。
今回は球団所属のトレーナーの「ファインプレー」だったわけだが、ここ最近の、選手の人助けの例を併せてご紹介しよう。
今年の1月12日、福岡県北九州市にあるJR九州のグラウンドで自主トレを行っていたオリックスの小松聖、白仁田寛和、佐野皓大の3選手と、元オリックスの吉良俊則トレーナーの4人は、練習を終えて帰る途中、住宅街の一角で、うずくまっている女性を発見。白仁田がおぶって数百メートル先にある女性の自宅まで運び、そこで救急車を呼んで病院へ。緊急手術が行われ、大事には至らなかったという。
股関節近辺を骨折していたというこの96歳の女性は、自力で動くことができなかった。寒空のなか、そんな状況が続いていれば、最悪の事態になっていた可能性も否定できない。4人の迅速な「ファインプレー」が命を救ったのである。
西武の主力として活躍する森友哉の「ファインプレー」は、大阪桐蔭高時代の2013年11月、大阪の新今宮駅でのこと。朝の通学中、反対側のホームで白杖をついた70代ぐらいの男性が線路に転落。最初に気づいたのは、チームメイトでもある久米健夫選手。森や現場に居合わせた他の乗客に声をかけ、協力して線路から男性を引き上げたという。
森らは、そのまま学校に行き、授業を受けるなど普段どおりの生活を送っていたそうだが、制服等から大阪桐蔭の生徒だということがわかり、後日、JR西日本から感謝状を贈られている。
さすが、一瞬のプレーで勝負しているプロ野球選手。とっさの行動力はさすがだ。さらに、トレーナーもAED等を適切に使用し、落ち着いて事態を打開していくあたり、日々の研鑽により、しっかりと備えができている証拠だろう。スタジアムの外ではバッドニュースが続いていた野球界だが、こういった心温まる一報なら、いくらでも届けてもらいたいものだ。
文=藤山剣(ふじやま・けん)