プロ野球2016 ココが変わってどうなった?【球団編】
赤ヘル軍団からドジャーブルーへ。前田健太はユニフォームの色が変わっても、らしさ全開だった。メジャーデビュー戦となった4月7日(日本時間)のパドレス戦で、投げては6回無失点の好投を見せると、打っては初本塁打をマーク。デビュー戦とは思えないほど、堂々とした活躍ぶりで我々に衝撃を与えた。
4月10日現在で、広島は8勝6敗と2つ勝ち越し。52失点はリーグ最少、チーム防御率3.37は巨人、阪神に次いで同3位と、投手陣はクオリティーの高さを示している。
とりわけ先発陣はここまでの14試合中11試合でQS(クオリティースタート/先発投手が6回以上を投げ、3失点以内に抑えること)を達成。QS率は79%にのぼり、これはリーグトップの数値だ。
勝利に結びつかなかったとしても、各々スターターとしての仕事はこなしているといえる。
来日1年目でいきなり最優秀防御率に輝いたクリス・ジョンソンに、言わずと知れた男気右腕・黒田博樹。左右の二枚看板が今季の先発陣の柱を担う。
ジョンソンはキャリア初の開幕投手を任されるなど、ここまで3試合に先発。はじめの2試合は勝ち星に恵まれなかったが、6日のヤクルト戦で今季初白星。完投こそ逃すも、9回途中までマウンドを守り続ける力投だった。
二枚看板に続く存在が福井優也と野村祐輔。ともにかつてのドラフト1位で期待も高く、その働きぶりがチームの成績に直結する。
福井はここまでの3試合で1勝0敗も、2試合でQSを達成。オープン戦から中6日で日曜日の登板が続いている。
ドラフト1位・岡田明丈、同2位の横山弘樹の両ルーキーも、即戦力の評判に違わぬ投球を見せている。
岡田は4月1日の巨人戦で初登板初先発。開幕6戦で5勝と勢いにのる相手に、7回途中3失点と堂々のピッチング。後続が打たれ初勝利は逃すも、最速151キロの速球は1軍でも十分通用しそうだ。
その岡田をしのぐ活躍を見せるのが横山。3月30日の中日戦で初登板初先発を果たし、8回途中3失点の好投で白星をゲット。続く4月8日の阪神戦では甲子園の大観衆を向こうに回し、7回1失点の快投を披露。勝ち星こそつかなかったが、敵地のファンに横山の名を刻み込んだ。
チェンジアップを中心とした多彩な変化球を武器とし、今後も活躍を続ければ新人王の有力候補にも挙がるだろう。
29試合登板、15勝8敗、投球回数206と3分の1。
これが昨季の前田が残した成績だ。果たして、200以上を数える投球回をどう埋めていくのか。目下の注目点はそこにある。
今の広島の戦いぶりを見ていると、ぽっかりと空いた200イニングは1人ではなく複数人で埋めていくしかないだろう。200イニングを1人で投げられる投手は限られている。
今後も上記の6名を中心にローテーションを回すことが想定され、現在はケガで離脱中の大瀬良大地も復帰後は先発での起用となるだろう。
マエケンの穴はみんなで埋めていく。2016年の広島は先発陣に注目だ。
文=加賀一輝(かが・いっき)