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大胆な決断で生まれ変わったベテラン左腕! 楽天・金刃憲人の活躍に注目せよ!


 30歳を過ぎたベテラン左腕が、大胆な決断で変化を遂げた。

 2006年ドラフトで立命館大から希望入団枠で巨人入団。2012年オフにトレードで楽天に活躍の場を移した楽天の金刃憲人が、苦境のチームを救うシブい活躍をみせている。

 2013年は中継ぎとして活躍。39試合に登板、キャリア最高の防御率1.85で、楽天の日本一に大きく貢献した。しかし、この2年間は不調に陥っていた。背中痛などの影響もあり、いずれも20試合に届かない登板数で、満足のいく活躍ができずにいた。奇しくも、金刃の不調と歩を合わせるかのように、チームも低迷している。

1軍合流後に投球フォームをサイドスローにチェンジ


 プロ10年目を迎えた今シーズン、今年ダメなら終わりという不退転の決意で臨んだ金刃。ケガも癒え、充実したキャンプを送った。開幕1軍こそ逃したものの、3月31日には1軍合流。特筆すべきは、そこからの大変身である。

 投球フォームを完全なサイドスローに変えたのだ。

 金刃はコーチと話し合い、左ヒジを思い切って下げるという突貫工事に踏み切った。1軍で通算156試合に登板し、通算281回2/3を投げてきた実績を持つ投手である。普通なら積み上げてきた実績にしばられてもおかしくはない。しかし、金刃は視線を未来へ向けた。強い意志を垣間見ることができるその決断が、自身にもチームにとっても功を奏す形になった。


中継ぎ左腕不在で開幕を迎えたチームの救世主に


 ソフトバンクには森福允彦や飯田優也、ロッテは松永昂大…といった具合に、パ・リーグ他球団の開幕ロースターには、当然のように中継ぎ左腕が名を連ねた。

 しかし楽天は、その役割を任せられるサウスポーがいなかった。左腕は抑えの松井裕樹だけという布陣で、開幕を迎えたのである。

 そんな背景もあり、楽天の救援右腕による左打者被打率は.356と芳しくない。4月24日現在、本塁打も3本打たれている。

 一方、プロ3年目23歳の濱矢廣大と金刃による救援左腕の被打率は.148と上々、チームに必要不可欠な存在となっている。

左打者を圧倒する対戦成績


 実は楽天移籍後、金刃の左打者対戦成績は被打率.306、被出塁率.392と、サウスポーにしては物足りないものだった。

 特に昨季は被出塁率.452と、ファンをモヤモヤさせてきた。しかし今季は、楽天に欠かすことのできない左打者キラーだ。

 ここまで対戦した左打者22人との成績が、あまりにも素晴らしい。20打数3安打、二塁打1本、4三振、1四球、1犠打、被打率.150。打者のタイミングを完全にずらし、打たせた打球17本の82.4%がゴロに、ヒット3本もすべてゴロ打球だ。

 楽天が3年ぶりのAクラスへ浮上するには、「切れ味鋭い刃」のような黄金左腕、金刃の活躍が必要不可欠になってきた。


文=柴川友次(しばかわ・ゆうじ)
信州在住。郷里の英雄・真田幸村の赤備えがクリムゾンレッドに見える、楽天応援の野球ブロガー。各種記録や指標等で楽天の魅力や特徴、現在地を定点観測するブログを2009年から運営の傍ら、有料メルマガやネットメディアにも寄稿。

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