10月17日、毎年恒例のドラフト会議が開催され、本指名74名、育成枠33名が12球団から指名された。その中で、難しい漢字を使った名前、個性的な読み方をする選手を紹介しよう。
■巨人
4位:井上温大(いのうえ・はると)
投手/前橋商高
今夏の群馬大会決勝で敗れ、甲子園まであと一歩だった井上温大(いのうえ・はると)は、最速144キロながら、センスあふれる投球が持ち味のサウスポー。よく使われる「大」の字は、読み方のパターンが豊富なので気をつけたい。
■DeNA
3位:伊勢大夢(いせ・ひろむ)
投手/明治大
スリークオーターとサイドスローの中間あたりで腕を振るフォームから最速151キロのストレートを繰り出す伊勢大夢(いせ・ひろむ)。変化球も多彩。ここからプロ野球選手として大きな夢を実現できるか。
■阪神
4位:遠藤成(えんどう・じょう)
内野手/東海大相模高
指名時は内野手となっているが、外野もこなし高校通算45本塁打を放った遠藤成(えんどう・じょう)。また、投手としても最速145キロを計測している。「成」を「じょう」と読むパターンはハードル高め。
育成1位:小野寺暖(おのでら・だん)
外野手/大阪商業大
小野寺暖(おのでら・だん)は強打を武器に、関西六大学リーグで2度のMVPに輝いている。女手ひとつで育ててくれた母に契約金で恩返しをするつもりが、育成枠ということでそれが叶わず、指名時には涙を流した。支配下登録を勝ち取って、親孝行を実現したい。
■広島
1位:森下暢仁(もりした・まさと)
投手/明治大
今ドラフトのナンバーワン即戦力との呼び声も高い森下暢仁(もりした・まさと)。最速155キロのストレートに加えスライダーやカーブ、チャンジアップもハイレベル。「暢」の字は、訓読みでは「の(びる)」と読む。その意味通りプロでさらなる伸びを見せられるか。
育成3位:畝章真(うね・たかまさ)
投手/香川オリーブガイナーズ
カープファンなら、この名前でピンときたことだろう。そう、畝章真(うね・たかまさ)の父は、広島の畝龍実(うね・たつみ)投手コーチである。父は左サイドハンドの投手だったが、息子は右サイドハンドから、緩急を使ったピッチングが持ち味。父が成し得なかったプロでの勝利を挙げられるか。ちなみに、「畝」とは、畑で作物を育てる際に、細長く土を盛った部分のこと。
■中日
育成1位:松田亘哲(まつだ・ひろあき)
投手/名古屋大
文字は珍しくないが、名前の亘哲(ひろあき)は難読。高校ではバレーボール部で、大学に入って硬式野球を始めた異色の選手。しかも、国立の名古屋大学。国公立大、なかでも旧帝大出身で大成したプロ野球選手は皆無なのが実情ではあるが、最速148キロ左腕の大化けがあるか。
■ヤクルト
ヤクルトは、昨年に続いて難しい名前の選手がいなかった。しいて挙げるとすれば、1位指名で星稜高出身投手の奥川恭伸(おくがわ・やすのぶ)か。「おくかわ」ではないので、ご注意を。
■西武
7位:上間永遠(うえま・とわ)
投手/徳島インディゴソックス
永遠と書いて「とわ」と読む。まるで漫画の主人公のようだが、個性的な名前は、ファンや関係者に浸透するのも早いため、プロ野球選手にとってメリットも多い。投手としては、オーバーハンドから繰り出す150キロ近いストレートを武器に、四国アイランドリーグplusで最優秀防御率をマークしたこともある本格派だ。
■ソフトバンク
4位:小林珠維(こばやし・じゅい)
内野手/東海大札幌高
小林珠維(こばやし・じゅい)は、そのまま音読みでOK。投げては最速150キロ、打っては高校通算30本塁打で、なおかつ俊足という逸材。今後の育成方針が注目される。
5位:柳町達(やなぎまち・たつる)
内野手/慶應義塾大
柳町達(やなぎまち・たつる)は、名前の読みがやや難しめ。最後の「る」までしっかり読みたい。パワーよりもミートのうまいタイプで、東京六大学リーグでは、試合数以上のヒットを放った。
育成3位:伊藤大将(いとう・だいすけ)
内野手/八戸学院光星高
伊藤大将(いとう・だいすけ)は、読み方がいろいろと考えられる名前で、「だいすけ」は意外と読みにくい。強豪・八戸学院光星高の二塁手として、2年の夏から3季連続で甲子園出場。守備力も高い。群雄割拠のソフトバンクの二塁手争いに加われるか。
育成4位:勝連大稀(かつれん・はるき)
内野手/興南高
勝連大稀(かつれん・はるき)は姓、名ともにやや難しい。勝連という姓は、出身地でもある沖縄に比較的多い名前で、文字を入れ替えれば「連勝」。毎日が勝負のプロ野球界おいては、非常に縁起がいい。攻守にセンスが感じられる遊撃手だが、174センチ66キロとまだまだ線が細め。体力強化にも努めたい。
■楽天
1位:小深田大翔(こぶかた・ひろと)
内野手/大阪ガス
小深田大翔(こぶかた・ひろと)は、姓の「小深田」が珍しい。下の名前も、別の読み方が考えられる漢字の組み合わせなので、要注意。社会人出身で、即戦力の期待がかかる内野手。二遊間と三塁を守れる器用さがあり、ウィーラーや茂木栄五郎のサブとして戦力になるようなら、楽天内野陣の厚みがグンと増す。
育成2位:小峯新陸(こみね・しんり)
投手/鹿児島城西高
育成2位の小峯新陸(こみね・しんり)は、「しんり」が読みづらい。189センチの長身から投げ下ろす140キロ台中盤のストレートは、まだまだ伸びしろを感じさせる。
育成3位:山崎真彰(やまざき・まあき)
内野手/ハワイ大
「まさあき」ではなく「まあき」という読みが一風変わっている。石井一久GMの母校である東京学館浦安高から東京国際大に進むも、中退しハワイ大へ。ハワイ大でコンスタントに打率3割台を記録しており、183センチ86キロの大型内野手として期待がかかる。
■ロッテ
1位:佐々木朗希(ささき・ろうき)
投手/大船渡高
今ドラフトの目玉ということで、さすがに佐々木朗希(ささき・ろうき)の知名度は上がっているだろうが、「ろうき」は個性的な名前で、戦隊ドラマの「百獣戦隊ガオレンジャー」の悪役キャラ「狼鬼」から取られたという。相手チームの主力打者を苦しめる存在になれるか。その動向から目が離せない投手だ。
3位:高部瑛斗(たかべ・あきと)
外野手/国士舘大
3位指名の高部瑛斗(たかべ・あきと)は、名前の読みが難しい。「瑛」は、水晶など美しくて透き通った玉を表す。ここから宝石のような存在になれるか。俊足強打の外野手で、キャンプからアピールできれば、開幕1軍の可能性も十分だ。
■日本ハム
育成1位:宮田輝星(みやた・ほくと)
外野手/福岡大
日本ハムが昨年指名したドラ1投手・吉田輝星と1文字違いとして話題になっている育成1位の宮田輝星(みやた・ほくと)。同じ漢字でも、ポジションも投手と外野手で違えば、「こうせい」と「ほくと」と、名前の読みもまったく異なる。
■オリックス
4位:前佑囲斗(まえ・ゆいと)
投手/津田学園高
最速152キロのストレートを中心に、スライダーやツーシームで左右の揺さぶりをかけ、フォークやチェンジアップで高低差や緩急をきかせるトータル能力の高い右腕。侍ジャパンU-18代表にも選ばれた。姓、名ともに珍しいく、覚えたら一生忘れないインパクトがある。
文=藤山剣(ふじやま・けん)