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小さい体でも魂は熱い!高い守備力でDeNAの遊撃手争いに名乗りを上げるドラフト3位指名・柴田竜拓

【この記事の読みどころ】
・誰よりも強いショートへのこだわり。高い守備力を生かしてプロでもこだわりを貫けるか!?
・プロ野球全体では下から3番目の低身長となる167センチでも貪欲に戦え!
・最終戦に勝った大学が優勝という状況に。有終の美を飾れるか?


▲堅実な守備でチームを勝利に導く柴田竜拓

★ショート一筋の熱い男。3位指名で横浜へ

 10月22日。國學院大の自力優勝の芽が潰えてしまった敗戦後に行われたドラフト会議。

 合宿所内でテレビ中継を見る控え部員同様、その中心にいる柴田竜拓も笑顔に溢れていた。「待っている間も嫌な気持ちはなかった」というように、非常にリラックスした気持ちで自らの名前が呼ばれるのを待っていた。

 そして、横浜DeNAベイスターズから3巡目で指名を受けた瞬間、一斉に歓声が響き渡った。

▲終始和やかな雰囲気で中継を見守った柴田ら國學院大野球部員

 ずば抜けた守備力に高い評価が集まる柴田。その入学時について上月健太コーチが振り返る。

「球際にすごく強かった。だから見ている人が『あれ捕るの!?』というようなプレーはその時からしていたんです。(渡邊)貴美男(現JX-ENEOS)よりもうまくなるな、という感じがありました。動きに丸みがあったんです」

 國學院大初優勝時のキャプテンであり、現在は社会人の日本代表で主将、正遊撃手を務めている先輩選手の名前を出して説明した。チーム事情から三塁を守ることもあったが柴田自身は遊撃手への強いこだわりを見せていた。國學院大では選手各自が希望ポジションを提出する機会がある。「サードとショート」など複数ポジションを書く選手が多い中、柴田は一貫して「ショート」とだけ書いていたという。

 持ち前の守備力に丁寧さが加わり、さらに三塁の経験も生きた柴田は遊撃のポジションを射止めて以降、着実ながら確実に頭角を現して行った。3年生ではハーレムベースボールの代表に選出され、最優秀守備選手賞に輝いた。

 また167センチの身長を言い訳にせず、食事やトレーニングも重ねて3年秋に初アーチを記録するなど打力もついてきた。同年11月のU21代表にも選出され、プロ野球選手とともに日の丸を背負った。そして今夏には大学ジャパンの一員として世界一を勝ち取るなど、経験も豊富だ。

★勝負はすでに始まっている? 定位置確保へ長所生かす

 指名からほどなくして行われた会見。普段通り、落ち着いた様子で記者の質問に答えていった。

「今は率直に嬉しいのとホッとしている気持ちでいっぱいです。

 セールスポイントは守備。プロに入っても自信を持って行けるくらい練習をして、プロの世界に入りたいと思っています。課題としては、体が小さいことに言い訳はできないので、年間通しても戦える強い体を目指していかなければいけないと思っています。

 國學院大では野球はもちろんですが、人としてどうあるべきか、ということを学びました。気づくことや感じること、自分の意思を持って判断することの大切さであったり、合宿所生活で仲間の大切さや、仲間を思いやる心をすごく成長させてもらったと感じています。

 これからは選んでよかったと思われるような選手になって、チームの勝利に貢献できるようになれればいいです。1軍にいることに意味があると思うので、1年目は1軍に定着していきたいです」

▲主将としてもチームに好影響を与えている柴田(写真左・右は鳥山泰孝監督)

 4年間、柴田を見てきた鳥山泰孝監督は厳しい言葉も交えながらエールを送った。

「(柴田のいいところについて)まずは守備力が高いこと。プラス走攻守において判断力が安定しているので、プロ野球のレベルでもこういう選手が一人でもいてくれれば助かるんじゃないかと思います。守備力が高いですからチャンスも数多くもらえる可能性もありますので、守備からチャンスを掴んで、攻撃力を上げてレギュラーを掴みとってもらいたい。

 この4年間、人間的なところは一回りも二回りも成長していったと思いますし、私もそれなりに厳しく指導してきたつもりです、そこの成長が技術の発展に繋がっていったと思いますが、もちろん技術の安定を手に入れるだけの下積み、反復練習を上月コーチとともにやってきました。地道な反復練習と自分自身の心の中の戦いに勝って、こういった評価を自分の手でしっかり手に入れたと思っています。先ほども言いましたが、スタートラインに立っただけ。ここから新たな戦いが始まります」

 会見を終えて写真撮影に移るとき、「おめでとうございます」と改めて声をかけた。「今永(昇太・駒澤大)と同じでよかったです」と緊張していたのか、汗の伝う顔が緩んだ。だが何気なく向けた「山下(幸輝・國學院大〜DeNA)さんと一緒ですね」という一言に表情が引き締まった。

「でも、そこは……勝負なんで」

 この翌日、他チームの兼ね合いから國學院大に再び自力優勝の芽が復活。本日(27日予定)10時から行われている対亜細亜大との勝者が秋季リーグ制覇となる。

 優勝の栄光を置き土産に、プロの世界へ羽ばたけるか。

▲仲間に肩車をされて笑顔を見せる


文=山田沙希子(やまだ・さきこ)
東京都出身。早い時期から東都大学リーグの魅力にハマり、大学生時は平日の多くは神宮球場または神宮第二球場に通い詰めた、三度の飯より東都大学リーグが好きなライター。多くの東都プレイヤーの取材を通して、さらに東都愛は加速中。イベント「TOHKEN〜東都大学リーグ野球観戦研究会〜」でも活躍。

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