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西武ライオンズは本当に地の利を生かせたのか? 「冷戦」に持ち込もうとした開幕戦の作戦を検証


 使い慣れたフィールドやマウンド、そして多くのファンの後押しなどがあるため、ホームグラウンドには地の利があると言われる。

 今季の開幕戦を本拠地で迎えた西武は、「寒さ」を味方につけようとした。春先の西武プリンスドームではまだまだ寒い。そんな環境での試合を優位に進めるために、「寒さに強い選手」を起用したのだ。

 田辺監督が明言したのは、岩手出身の菊池雄星と八戸大出身の秋山翔吾の2人だったが、出場選手の出身地や出身校の所在地を鑑みると、かなりその作戦を重んじたと勘ぐりたくなる。

 結果的には11年ぶりの開幕戦サヨナラ勝利となる白星を挙げることができたわけだが、この作戦はどれだけ試合ないように影響したのか……。検証してみたいと思う。

なかなかの活躍を見せた中心選手


 まずは田辺監督も認める「冬男」からチェックしてみよう。

 開幕投手の菊池雄星は、岩手県盛岡市出身で高校も同県の花巻東高。試合前に「もっと寒いところで投げていたので大丈夫です」とコメントしていたものの、6回2失点で防御率1.50(被安打7)と及第点の内容だった。

 昨季、1シーズンの安打数日本記録を打ち立てた秋山翔吾は、出身は神奈川県横須賀市だが、青森県の八戸大に進学。そこで寒さへの耐性がついたのか、開幕戦では2打数1安打3四球とリードオフマンの仕事を果たした。

 ここまでを見ると、この作戦は成功したかに見える。


期待に応えられなかった下位打線だが、フタを開けると…


 しかし実のところ、下位打線にも寒冷地に縁のある選手を起用していたのだが、彼らは軒並み結果を残せなかった。

 6番坂田遼は、北海道の帯広市に住んでいたことがあり、その後、函館大に進学し同大初のプロ野球選手になるほど活躍していたが、開幕戦では4打席で1四球のみという結果に。

 7番山川は、南国・沖縄県出身ではあるが、岩手県の富士大に進学。そこで大学日本代表の4番を務めるまでに成長したことから、寒冷地の水が合っていたと思われたが、結果的には4打数でヒットなし。

 9番の外崎も、山川と同じ富士大で、さらに青森県出身ということから寒さに強いと思われたが、金子の前に完全に沈黙。3打席目で代打を出されてしまった。

 よもやの苦戦の理由なのかもしれないが、相手が大エースだけに致し方ないところもあるだろう。それに金子も、新潟県に生まれ長野県に引っ越したという経歴の持ち主であり、バックボーンから見ると相当寒さに強そうだ。

策に溺れるところだった西武首脳陣


 またオリックスの打撃陣を見ると、2安打を放った糸井嘉男と小谷野栄一が以前に所属していた球団は、北海道日本ハムファイターズである。「寒さ」に対しては、これ以上ない耐性が備わっているだろう。

「寒くなれ〜」と念じていた西武首脳陣だったが、実は相手の中心選手にも活躍できる環境を整えてしまっていたのだ。

 ここ数年のチーム成績を考えると、敵に塩を送っている場合ではない。それでも開幕戦、2戦目と逆転ゲームで連勝したので力があるとも見られるが、地元での試合なだけに少しでも相手チームの戦力を削いでほしいものである。

 とはいえまだまだ寒い日がありそうな春先の試合だけに、寒冷地出身選手の動向は追い続けていきたい。

文=森田真悟(もりた・しんご)

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