期待を込めて、まだ「本気を出していない」選手を挙げていきたい。
まずは筒香。先のWBCでは3本塁打を放つなど高い長打率をマークし、侍JAPANの主砲として頼りにされたが、開幕から9試合で本塁打はゼロ。打率も.226とさえない。安打も単打が中心で、パンチ力が鳴りを潜めている。
しかし、失望するなかれ、筒香は7月、8月の夏真っ盛りが絶好調期。まだ「本領発揮はこれからなのだ!」と思いたい。
投手陣はどうだろう。昨シーズンの先発ローテの屋台骨を支えた石田健大、今永昇太、井納翔一にまだ勝ち星がない。しかし、ご安心を。石田は8日の中日戦では打線の決定力不足に泣いたものの、自責点1と安定した投球を見せ、次の登板では勝利が期待できる。
今永も、思えばルーキーイヤーの昨シーズンも5月までは好投しながらもさんざん勝ちを逃していた。まだまだこれからだ。
井納は、5日の巨人戦では重要な場面で連続四球を与え、自責点3で敗戦投手となった。しかし、全体的に見れば安定した投球は健在、ともとれる内容だった。6回以上を自責点3以内に抑えるクオリティー・スタートを重ねていければ、勝ち星は自然とついてくるはず。
一方、スロースターターの戦友を尻目に、必死で屋台骨を支えている選手たちがいる。その筆頭は梶谷隆幸だ。
ラミレス監督のチーム戦略の核として2番に座り、打率.366、1本塁打、4盗塁と一人気を吐く大車輪の活躍。昨シーズンのCS以降、顔つきが変わったのは気のせいだろうか? チームを背負う意識がその顔つきやプレーに現れている。気が早いが、今シーズンの最終成績が楽しみだ。
打撃陣不調のなか、幸運にも3番のロペスの調子も悪くない。打率.316、いいところで2本の本塁打を放っている。また、開幕における好材料と言えば、なんといってもドラフト9位の佐野恵太。オープン戦での好成績は伊達ではなかった。8日の中日戦では初安打が同点打となり、チームを敗戦の危機から救った。
チームのエンジンが温まり、本調子となるにはもう少しかかりそうだ。好調の選手たちが頑張っているうちに、ほかの選手は早く調子を上げてほしい!
文=元井靖行(もとい・やすゆき)