プロ野球のテレビやラジオの中継につきものの解説。取材やプレー経験に基づいた知見はファンの見聞を広げてくれる。そして、さらに積極的に情報を取り入れるために、各種スポーツメディアのコラムなどをチェックしているファンも多いだろう。
今回はそのなかでも、特に筆者が“押さえておくべき!”とおすすめする解説とコラムを取り上げる。
●ノムさんのぼやき解説(TBS系列『S☆1』)
野村克也氏(元南海ほか)がスタジオで試合のVTRを見ながら、ポイントポイントでぼやきを交えた解説をする『S☆1』コーナー。基本的には辛口だが、褒めるところはしっかり褒める好々爺のいち面も見せてくれる。
多くの場合はプレーに対する振り返りだが、ときに予言めいた先出しコメントをすることもあり、「さすがノムさん」と思わせるシーンも。
筆者の記憶に強く残っているのは森友哉(西武)への“当たり”予言。「三冠王を獲れる逸材」「(プレーを見て)ファンになっちゃったよ」と褒めちぎった。さすがの見立てだった……のだが、それもつかの間、ヘルメットを外して茶髪が顕になった瞬間、「ファンやめるわ」と手のひら返し。
真面目かつ気ままなおじいちゃんのトークは必見だ。
●里崎智也『サトのガチ話』(日刊スポーツ)
幕張のホームベースを守り抜いた里崎智也氏(元ロッテ)が、日刊スポーツ紙上で連載しているコラム『サトのガチ話』。“気鋭の若手論客”という雰囲気で所属していたパ・リーグだけでなくセ・リーグやWBCにも物申している。
最近、読んでいて気になったのは、「日本ハムのドラフト戦略で分かる先見の明」「ロッテ全員で紅白戦意図を共有していたか」というタイトルの2本。
前者は日本ハムを褒め、後者はロッテに疑問を投げかける論調だったが、素直な思いから、やはり古巣には厳しくなる模様……。
現役時代の里崎氏のように貢献度の高かった人材は、引退しても古巣のユニフォームを着続けるケースが多いが、筆者としては敢えて、このままご意見番としてあり続けてほしいと思う。
●『金村義明の野球漫談』(MBSラジオ『上泉雄一のええなぁ!』)
“しゃべれる元プロ野球選手”金村義明氏が、MBSラジオ『上泉雄一のええなぁ!』内の1コーナーとして週1回担当しているトーク枠。毎回4つのテーマを持ち込んで、取材で触れたヒトやコトを金村節で喋り倒していくというもの。
中身の濃さもさることながら、特筆すべきは時間の長さ。前振りや余談を含めながら、長いときは1時間半も野球談義が繰り広げられるので、聴き応えはバツグンだ。
プロ野球だけでなく、ときに競技の枠も超えて話が広がっていくので、スポーツ界全般の知識を蓄えるのにも役に立つ。
最近は新聞、雑誌、Webメディアで実に多種多様なコラムが存在している。
例えば中日スポーツには『江藤省三の白球教室』という連載があり、これは慶應義塾大の監督を務めたこともある江藤氏が小学生や中学生の質問に答えていくというスタイル。優しい語り口で、週に3回「紙上野球教室」が展開される。
ちなみに筆者が欠かさず読んでいるのは、日刊スポーツ紙上のコラム『野球の国から』。“記者視点”で日本の野球を振り返っていくという内容で、読む度にあらためて、野球が好きな自分を再確認できるのでオススメだ。
文=森田真悟(もりた・しんご)