小林誠司(巨人)、大野奨太(日本ハム)、直前で辞退した嶋基宏(楽天)の代わりに召集された炭谷銀仁朗(西武)の3人体制で臨んだ侍捕手陣。正捕手として小林が起用され、ラッキーボーイ的な活躍を見せたことは記憶に新しい。
その小林はシーズンが始まると打撃が絶不調。打率は.153と低迷し、4月23日の阪神戦では犠打を失敗するなど精鋭を欠いている。大野は清水優心、市川友也らとの併用が続く。4月16日に猛打賞を記録したものの打率.222と低空飛行。苦しい状況が続く。
一方炭谷は打率2割台と打撃面は寂しいが、森友哉のケガによる不在もあり、守備で西武の上位進出を支えている。3人の捕手の唯一順調にシーズンを戦っているといえる。
■WBC出場捕手の成績
大野奨太(日本ハム)
15試合/打率.222/1本塁打/4打点
炭谷銀仁朗(西武)
20試合/打率.214/0本塁打/2打点
小林誠司(巨人)
25試合/打率.153/0本塁打/1打点
侍ジャパンの内野陣は好不調の差がはっきりと分かれた。
中田翔(日本ハム)、松田宣浩(ソフトバンク)、山田哲人(ヤクルト)は調子がまったく上がらず、チーム停滞の要因になっている。中田は故障で、登録抹消。復帰初戦ではチャンスで併殺打といいところがなく、打率1割台の絶不調にもがいている。
一方、坂本勇人(巨人)は阿部慎之助とともにチームを牽引。2年連続の首位打者へ向けて視界良好だ。広島の上位打線を形成する田中広輔は打率.288、菊池涼介は.254。菊池は開幕当初こそ不振だったが調子を上げてきており、心配はなさそう。広島の「タナキクマル」は今シーズンも健在だ。
■WBC出場内野手の成績
中田翔(日本ハム)
15試合/打率.170/1本塁打/4打点
松田宣浩(ソフトバンク)
26試合/打率.220/1本塁打/6打点
田中広輔(広島)
27試合/打率.288/0本塁打/9打点
菊池涼介(広島)
27試合/打率.254/2本塁打/10打点
坂本勇人(巨人)
25試合/打率.330/1本塁打/11打点
山田哲人(ヤクルト)
19試合/打率.191/2本塁打/8打点
外野陣は1人を除いて好調だ。
内川聖一(ソフトバンク)は4番として.340と高打率をマーク。また、チームトップタイの5本塁打を放っており絶好調。残り72安打に迫る通算2000安打達成も時間の問題だ。
鈴木誠也(広島)、平田良介(中日)も4番を任される試合もあり、好調をキープ。ともに2ケタの打点をマーク。役割をしっかりと果たしていると言えそうだ。唯一のメジャー組からの参戦だった青木宣親(アストロズ)はレギュラーではないものの打率3割をキープ。元DeNAのグリエルとともにチームに貢献している。
そして「唯一の不調」が日本の4番を務めた筒香嘉智(DeNA)。開幕から不振を極めている。特に寂しいのは本塁打で開幕から25試合でわずかに1本。打率は.275と上向いてきたものの、昨季の二冠王からすると物足りない数字だ。打点は2ケタを挙げているが、豪快な一発を連発してほしいところだ。
■WBC出場外野手の成績
内川聖一(ソフトバンク)
26試合/打率.340/5本/20打点
秋山翔吾(西武)
23試合/打率.330/5本塁打/11打点
鈴木誠也(広島)
27試合/打率.318/5本塁打/19打点
筒香嘉智(DeNA)
25試合/打率.275/1本塁打/12打点
平田良介(中日)
26試合/打率.260/4本塁打/15打点
青木宣親(アストロズ)
18試合/打率.321/1本塁打/5打点
好不調の差がはっきりと分かれた侍戦士たち。WBCによる早仕上げが開幕ダッシュにつながったかどうか明暗が見えるのが特徴的だ。シーズンはまだ始まったばかり。不振の選手たちも温かい目で見守っていきたい。
文=勝田 聡(かつた さとし)