2013年にドラフト1位で西武へ入団した森友哉。藤浪晋太郎(阪神)の一学年下で、大阪桐蔭高時代はバッテリーを組み甲子園春夏制覇を果たした。
2014年のルーキーイヤーに開幕1軍を勝ち取ることはできなかったが、7月に一軍昇格を果たすと、一度も降格することなくシーズンを乗り切った。代打での起用が18回と先発出場は少なかったものの、捕手としても14試合に先発した。
一転、2015年は捕手としての起用は1試合もなく、指名打者での起用がメインに。守備に就いても右翼での起用だった。ほぼ、打撃に専念するなかで森は138試合に出場し、高卒2年目ながら規定打席に到達。打率.287とリーグ8位の成績を残した。本塁打も17本と2ケタを達成。高卒2年目まででの2ケタ本塁打達成は大谷翔平(日本ハム)以来5人目の快挙だった。
3年目となった昨シーズンは不振もあり、開幕1カ月後に2軍降格。5月末に1軍へ復帰すると徐々に調子を上げ、終わってみれば107試合に出場。2年連続となる2ケタ本塁打を達成した。捕手としても2年ぶりの出場を果たし、シーズン終了後には辻発彦新監督が「森は捕手として起用する」と明言。今シーズンは捕手固定で戦うことになりそうだ。
紆余曲折ありながらも4年目のシーズンで「打てる捕手」への道筋が整ったといえる。
【2014年シーズン成績】
41試合:打率.275/6本塁打/15打点
【2015年シーズン成績】
138試合:打率.287/17本塁打/68打点
【2016年シーズン成績】
107試合:打率.292/10本塁打/46打点
『野球太郎』本誌のドラフト特集による森の評価を振り返ってみよう。
『野球太郎No6 2013ドラフト直前大特集号』を取り出してみる。こちらはドラフト前に発売されているので、西武が指名する前の段階での評価だ。森は単独で表紙にドーンと登場。松井裕樹(桐光学園→楽天1位)と並んで、巻頭ページの「ドラフト1、2位指名候補」のトップに掲載されている。
そこでの文中の評を拾ってみると、「大学生・社会人も含めて今年のドラフト候補No.1打者」とある。170センチと小柄な高校生捕手に対しては異例の高評価だ。最後には「<プロ最小の最強捕手>になってやれ。ホームベースしか似合わない」とも書かれている。
野球太郎ライター陣による「夏の甲子園クロスレビュー」を見ると40点満点中39点という高評価。これは松井と並びトップの数字だ。
ドラフト前から「打てる捕手」としての期待されていたことがわかる。
補足を加えると、「12球団別・ドラフトの焦点はここだ!」という特集ページでは、西武の補強ポイントとして「炭谷銀仁朗の後釜が必要」と書かれており、チームの補強ポイント分析もしっかりと当たっている。しかし、オススメの捕手には若月健矢(花咲徳栄高→オリックス3位)の名前が挙がっており、森の名前は出てこなかった…。
続いてドラフト後に発売された『野球太郎No7 2013ドラフト総決算&2014大展望号』を見てみよう。
この号でも森は表紙を飾っている。しかし、前号では1人で表紙を張っていたが、ここでは松井がメインに。森は吉田一将(JR東日本→オリックス1位)とともに松井の脇を固めている。
さて、巻頭の「ドラフト指名パーフェクト名鑑」を見ると「プロ対応の打撃力で即活躍だ」とあり、その未来像は阿部慎之助(巨人)となっている。2016年までの活躍を見るとこの時点での評価はおおむね当たっている。
そして、特集「プロ野球12球団ドラフト採点」における西武のページでは「会心の指名選手」として森をピックアップ。起用法について「代打なら即戦力と思うが、そうなると捕手の勉強ができない」と言及。まさに2016年シーズンまでの森を言い表している。
同特集の「近未来チーム編成シミュレーション」では、2016年の予想オーダーに3番・捕手として森の名前が入っている。昨季はシーズンを通しての捕手としての出場はできなかったが、7月29日のオリックス戦ではプロ入り後、初めて3番・捕手でのスタメン出場を果たしている。
楽しみなのが2018年のシミュレーションだ。森は2016年同様に3番・捕手として名前を連ね、6番・一塁には2013年のドラフトで森の次に指名された山川穂高(富士大、2位)が抜擢されている。2016年シーズン後半にブレイクした森の同期がスタメンに並んで名を連ねているのだ。
両選手の活躍を見ると、今シーズンにこのオーダーが実現する可能性がある。1年前倒しで『野球太郎』のシミュレーションは当たるかもしれない。
森以外の高卒選手を見ると松井裕樹(楽天)、内田靖人(常総学院→楽天2位)、園部聡(聖光学院→オリックス2位)らに高評価が与えられている。松井はクローザー転向後にチームの要となり、今や欠かせない戦力として活躍。2015年には侍ジャパンも選ばれた。内田、園部は2016年現在ではまだ花開いていないが、徐々に出場機会を増やしており、今シーズンの飛躍を期待されている。
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文=勝田 聡(かつた・さとし)